Gaia-CRF3(Gaia Celestial Reference Frame 3)
2025年12月15日 16:25
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概要
Gaia-CRF3(Gaia Celestial Reference Frame 3)は、欧州宇宙機関(ESA)のガイア(Gaia)衛星ミッションによって構築された最新世代の天球参照枠です。主に遠方銀河やクエーサーなどの超遠距離天体を基準点としており、地球の運動や回転の影響を受けない高精度な宇宙空間の座標基準を提供します。Gaia-CRF3は、天文学・宇宙測地学における位置決定の基盤として、これまでのICRF(国際天球基準枠)を補完・高度化する役割を担っています。
構成要素
Gaia-CRF3はファイル形式ではなく、観測データと数学的定義から成る天球参照系であり、以下の要素によって構成されています。
- 基準天体カタログ: 数十万個規模のクエーサーや活動銀河核(AGN)が収録され、事実上固定された天球上の基準点として機能します。
- 天球座標定義: 国際天文学連合(IAU)に準拠した赤経(Right Ascension)・赤緯(Declination)による三次元角度座標体系を採用します。
- 観測データセット: Gaia衛星による高精度アストロメトリ観測(位置・年周視差・固有運動)を基礎データとして構築されています。
- 時間基準との結合: 天体位置は特定の基準時点(エポック)に結び付けられ、時間変化を考慮した精密な座標管理が可能です。
- ICRSとの整合性: 国際天球基準系(ICRS)と高い整合性を保ち、地上測地系やVLBI観測との相互利用が可能です。
長所
- 極めて高い位置精度: マイクロ秒角レベルの精度を実現し、従来の天球参照枠を大きく上回る正確さを持ちます。
- 地球運動の影響を受けない安定性: 遠方銀河を基準とするため、地球の自転・公転や地殻変動の影響を受けません。
- ICRFとの高い互換性: 電波天文学のICRFと整合的に設計され、波長を超えた統一的な宇宙座標基盤を提供します。
- 宇宙測地学への貢献: 地球基準座標系(ITRF)との結合により、地球と宇宙を結ぶ統合的な測地フレームを構築できます。
- 将来拡張性: Gaiaミッションの追加データリリースにより、継続的な精度向上が可能です。
短所
- 専門分野限定の利用: 主に天文学・宇宙物理学向けであり、一般的なGISや地図用途には直接利用されません。
- データ処理の難易度が高い: 相対論補正や時間依存性を考慮する必要があり、高度な専門知識が求められます。
- 地上座標系との直接対応が困難: WGS84などの地理座標系とは直接的な対応関係がなく、変換には測地学的モデルが必要です。
- 観測誤差の天体依存性: 基準天体の明るさや構造によって、位置精度にばらつきが生じる場合があります。
- リアルタイム利用に不向き: 静的な基準枠であり、即時測位やナビゲーション用途には適していません。
応用シーン
Gaia-CRF3は、天文学における位置基準の根幹として、恒星や銀河の精密位置測定、天体運動の解析、宇宙スケールでの座標統一に用いられます。特に、電波天文学・光学天文学の観測結果を共通の参照枠に統合することで、多波長天文研究を支える基盤となっています。また、宇宙測地学分野では、地球基準座標系(ITRF)と連携し、地球と宇宙の位置関係を高精度に結び付ける役割を果たしています。深宇宙探査機の姿勢決定や天体航法、基礎物理定数の検証など、最先端の宇宙科学研究において不可欠な参照座標系です。
例
1. (Gaia-CRF3)の特性例。

2. (Gaia-CRF3)の特性例。

関連座標系
複合座標参照系
Eckert IV
メルカトル図法
ロビンソン図法
参考
- https://www.mdpi.com/2218-1997/10/12/455
- https://www.cosmos.esa.int/web/gaia/gaiadr2_rf
- https://www.ipac.caltech.edu/publication/2022A&A...667A.148G