Belgian Lambert 72(ベルギー・ランベルト72 – EPSG:31370)
2025年11月05日 17:22

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概要

Belgian Lambert 72(ベルギー・ランベルト72) は、ベルギーで採用されているランベルト正角円錐図法(Lambert Conformal Conic Projection)に基づく座標系であり、1972年に制定されたベルギー測地データを基盤とする地域的な測地座標系です。この投影法は、地球の回転楕円体を平面上に変換する方式で、ベルギーおよびその周辺地域の地図作成や地理情報システム(GIS)用途に適しています。EPSGコードは 31370 です。本座標系は地心座標系(例:WGS-84)とは異なり、楕円体の中心が地球の質量中心と一致しないため、「参心座標系(ローカルデータム)」に分類されます。

構成要素

  1. 参照楕円体:クラソフスキー楕円体(長半径 6,378,245 m、扁平率 1/298.3)を採用しており、地球質心とは一致しない参心楕円体です。
  2. 投影方式:ランベルト正角円錐図法(Lambert Conformal Conic)を用いて、割円錐面により楕円体を平面に投影し、面積や角度の歪みを抑えています。
  3. 中央子午線:ベルギー本土の中央経線を基準として設定され、国内での投影変形を最小限に抑える設計となっています。
  4. 座標表現:平面直角座標はメートル単位で表され、分帯投影を採用することで変形を制御し、さらに負の値を避けるため東方向の擬似オフセット(例:500 km)が付与される場合があります。
  5. 測地基準面:ベルギー国内の地上測量データに基づき、楕円体と地表面との位置関係を調整しており、地域精度を最適化しています。

長所

  1. 高い地域精度:クラソフスキー楕円体とランベルト正角円錐図法の組み合わせにより、ベルギーおよびその周辺地域での地形測量・地図作成における局地的な精度を向上させています。
  2. 正角特性:ランベルト投影の特性により角度が保持され、方向精度が要求される地形図や都市計画図に適しています。
  3. モジュール的な適用性:3°や6°単位の分帯投影方式や東方擬似オフセットを採用でき、工学・測量・GISなど多様なアプリケーションに柔軟に対応します。

短所

  1. 非地心基準:クラソフスキー楕円体という参心楕円体を使用しており、WGS-84のような地心座標系と互換性がなく、変換の際に誤差が生じる可能性があります。
  2. 地域的制約:中緯度地域(ベルギー周辺)での使用を前提としているため、広域または全球的な利用には適さず、他の投影法を併用する必要があります。
  3. 楕円体パラメータの陳腐化:クラソフスキー楕円体の長半径などの値は現代の精密測地値と乖離しており(約109mの差異)、高精度測量には影響を及ぼす場合があります。

応用シーン

Belgian Lambert 72 座標系は、ベルギーおよびその周辺地域における高精度な地図作成やGIS(地理情報システム)で広く利用されています。具体的には、地形測量、都市計画、インフラ設計、土木工事の測定などに使用されています。また、3Dモデリング分野(例:Blenderによる都市景観の再現)では、DTM(数値地形モデル)やCityJSON形式の建築物モデルなど、ベルギーの地理データを正確に取り込むための基準座標系として採用されています。ランベルト正角円錐図法の特性により、中緯度地域での角度精度が保持されますが、WGS-84などの地心座標系との整合性に注意が必要です。

1. ベルギー・ランベルト72 – EPSG:31370。


2. osm2pgsqlでEPSGコードを指定した際の座標シフト例(赤=EPSG 31370)。

関連座標系

CH1903 / LV03

Greek Grid

S-JTSK / Krovak 東北投影

TM35FIN

参考

  1. https://epsg.io/map#srs=5514&x=-543698.817778&y=-1140877.554892&z=7&layer=streets
  2. https://gis.stackexchange.com/questions/358536/coordinate-drift-when-using-osm2pgsql-and-specifying-epsg-code