ロビンソン図法(Robinson projection)
2025年12月08日 16:45

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概要

ロビンソン図法(Robinson projection)は、1960年代に開発された、世界全図の表示に広く用いられる地図投影法である。地球全体を平面上に見やすく表現するための“実用的な妥協”を目的として設計され、1963年にアーサー・H・ロビンソン博士によって発表された。本図法は、緯線が直線、経線が等間隔に配置された擬円筒図法(pseudocylindrical projection)に分類され、中央経線のみが直線で、その他の経線は曲線となる。ロビンソン図法は、厳密な数式ではなく、緯度・経度を特定の補間によりデカルト座標に割り当てたルックアップテーブルによって構成されている点が特徴である。

構成要素

原点の定義:赤道と本初子午線(経度0°)の交点を座標原点とし、東方向・北方向を正、西方向・南方向を負とする。

軸の向き:

  • X軸(経度):範囲は [-20037508.34, 20037508.34] メートル
  • Y軸(緯度):理論上は極付近で無限大となるが、実際には X と同様に [-20037508.34, 20037508.34] メートル に制約される。

投影限界:
数学的特性により、およそ ±85.0511° を超える高緯度域は完全に表現できず、極は切り取られる。
世界全体の座標範囲は (-20037508.34, -20037508.34) ~ (20037508.34, 20037508.34) の範囲に収まる。

長所

  1. 方向・角度の保存: 正角図法であるため局所的な角度と形状が保たれ、等角航路(一定方位線)は直線として描かれる。 海上および航空航法における直線的な針路計画に適している。
  2. 航法上の利便性: 経線と緯線が常に直交するため、任意の2地点間の方位角を正確に測定できる。 海図や航空図で広く利用される。
  3. Webマッピングとの高い親和性: Google Maps などに採用されている Web メルカトル図法はロビンソン図法の系統に属し、均一なグリッド構造によりタイル生成・高速描画に適している。

短所

  1. 面積・距離の歪み: 高緯度域で面積が大きく誇張され、例えばグリーンランドは実際の約14倍に見えるなど、極域ではスケールファクターが無限大に近づく。
  2. 極域表示の制限: 極地域を完全に描くことができず、緯度が高くなるほど面積や長さの歪みが増大する。
  3. 主題図への不向き: 面積の正確さが求められる人口密度・資源分布などの主題図には不適当であり、ガル・ピータース図法などの正積図法の方が適している。

応用シーン

メルカトル図法は、等角航路を直線として表現できる特性から、海上航法における海図作成や航路計画に広く用いられている。また、航空分野では正角性を利用した航空路設計に適している。さらに、Web メルカトルは Google Maps や OpenStreetMap をはじめとするオンライン地図サービスの標準となっており、形状と方位を正しく保ちつつ、タイル化による高速表示を可能にしている。一方で、高緯度の面積歪みが著しいため、極域の地図作成や面積の正確さが重要な主題図には適していない。

1. ロビンソン図法。


2. ロビンソン図法。

関連座標系

UTM ゾーン

東京測地系

CH1903

Korea 2000

参考

  1. https://en.wikipedia.org/wiki/Robinson_projection
  2. https://pro.arcgis.com/en/pro-app/latest/help/mapping/properties/robinson.htm
  3. https://www.pygmt.org/latest/projections/misc/misc_robinson.html