ED87 (European Datum 1987, EPSG:4231)
2026年01月06日 19:04

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概要

ED87(European Datum 1987、EPSG:4231)は、1987 年にヨーロッパ、特に西ヨーロッパ向けに確立された地域的な測地基準(ジオデティック・データム)です。当時のヨーロッパのジオイドにできる限り整合するよう設計された、伝統的な測地基準であり、ヨーロッパ測地学の近代化における重要な中間的成果と位置づけられています。主な用途は、1990 年代以前に作成された西ヨーロッパの測量データ、地形図、土木・建築図面の処理です。ただし、地上三角測量に基づく過渡的なデータムであるため、精度やグローバル互換性は現在の基準では十分とは言えません。現在では、WGS84 や ETRS89 などの近代的な地心座標系へ変換したうえで、歴史的データの統合、デジタルアーカイブ、専門的研究などの用途に限定して利用されています。

構成要素

ED87(EPSG:4231)は地域測地基準に分類される座標系です。その基本設計は、ヨーロッパのジオイドに最適に整合させることを目的とした地域原点に基づいています。定義は主に以下の三要素から構成されています。

  1. ヨーロッパ再三角測量網(European Triangulation Network)による物理的測地フレームワーク。
  2. International 1924 Reference Ellipsoid(国際1924楕円体)という数学的地球モデル。
  3. ヨーロッパ地域専用に定義された原点および座標軸の方向設定です。

長所

  1. 当時として高い地域精度: 衛星測量が普及する以前において、ED87 はヨーロッパ再三角測量網を基盤とし、当時の技術条件下でヨーロッパ域内における最高水準の精度を達成し、20 世紀後半の測量・地図作成需要を十分に満たしていました。
  2. 地域的統一の実現: ED50 などの旧来の不統一な基準を改善し、ヨーロッパ全体で比較的統一された座標参照系を構築したことで、大陸内の地理データ共有と統合を促進しました。
  3. 時代をつなぐ橋渡し的役割: 地上測量から衛星測地学への移行期における重要な中間段階として、後の ETRS89 など、より高精度で近代的なヨーロッパ測地基準の基盤を築きました。

短所

  1. 技術的に旧式: 地心座標系ではなく地上三角測量に基づくため、原点が地球重心と一致しておらず、GPS など現代 GNSS が用いる WGS84 と体系的なずれが生じ、互換性に乏しいという問題があります。
  2. 適用範囲が限定的: 完全にヨーロッパ地域専用のデータムであり、他地域で使用すると大きな誤差が生じ、グローバル用途には適しません。
  3. 現行標準により置き換え済み: WGS84 と高い互換性を持つ ETRS89 がヨーロッパの公式基準となったことで、ED87 は実務・研究・商用分野において事実上廃止されています。
  4. 座標変換が複雑: ED87 の歴史的データを現代座標系へ変換するには専用の変換パラメータが必要であり、地心座標系間の変換に比べて処理が複雑で、精度低下のリスクも伴います。

応用シーン

ED87(EPSG:4231)の利用シーンは、特定の時代に作成された地理空間データの継承処理に強く限定されています。1980~1990 年代にヨーロッパ三角測量網を基準として作成された西ヨーロッパの紙地図、地籍資料、土木・測量図面などの座標情報を正確に解釈し、デジタル化・歴史研究・法的検証といった目的で利用することが主な役割です。これらのデータは、ETRS89 や WGS84 などの現代座標系へ変換された後、現在の GIS 環境に統合されます。

1. EPSG データベースに基づく座標参照系の適用範囲。

関連座標系

NAD27

Eckert IV

メルカトル図法

ロビンソン図法

参考

  1. https://epsg.io/4231
  2. https://situx.github.io/proj4rdf/data//def/crs/EPSG/0/4231/index.html
  3. https://sis.apache.org/tables/CoordinateReferenceSystems.html