UTM ゾーン(Universal Transverse Mercator 座標系)
2025年11月28日 09:02

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概要

UTM ゾーン(Universal Transverse Mercator 座標系)は、地球表面の緯度・経度座標を平面直交座標系へ変換するための座標系であり、地図作成、工学測量、軍事分野で広く利用されています。その基本原理は、地域ごとに分割した帯状投影によって歪みを低減し、標準化された座標表現によって高精度な位置決定を可能にする点にあります。

構成要素

  1. ゾーン区分: 経度を6°幅ごとに 60 のゾーン(Zone 1〜60)に分割し、緯度は 8°ごとに 20 の帯(C〜X、I と O を除く)に分類します。
  2. 投影パラメータ: 横メルカトル図法を採用し、中央子午線の縮尺係数は 0.9996。東方向の基準値(False Easting)は 500,000 m、北方向は北半球で 0 m、南半球では 10,000,000 m が設定されます。
  3. 座標表記: 「経度ゾーン番号 + 緯度帯 + Easting + Northing」の形式で表され、単位はメートルです。

長所

  1. 正角性: UTM は正角横メルカトル図法であり、角度関係を保持するため、形状の正確さが求められる地図用途に適しています。
  2. ゾーン設計: 経度6°・緯度8°の帯状区分(計 60 経度ゾーン・20 緯度帯)により局所的な線形歪みが大幅に抑えられ、特に低緯度〜中緯度で高精度を維持します。
  3. 偽偏差の設定: 一定の False Easting(500,000 m)および False Northing(北半球 0 m、南半球 10,000,000 m)により負値が発生せず、座標計算が簡易になります。
  4. 全球的適用性: 北緯84°〜南緯80°をカバーし、大縮尺地図、軍事作戦、資源衛星データなど、広範な国際用途に対応します。

短所

  1. 全球全域をカバーしない: UTM は極域(北緯84°以北・南緯80°以南)を対象外としており、完全な全球用途には不向きです。
  2. 3°ゾーンでの歪み: 3°帯の構成では中央子午線付近で最大約 −0.0004 の縮尺歪みが生じる場合があり、場合によってはガウス・クリューゲル図法より精度が劣ることがあります。
  3. 国際的な統一性の不足: 60 以上の国で導入されているものの、各国が異なる基準楕円体を使用するため座標系に不一致が生じ、変換時には慎重な処理が必要です。

応用シーン

UTM ゾーン座標系は、軍事作戦において精密な全球測位とナビゲーションに利用され、部隊が迅速かつ正確に位置を把握することを可能にします。資源衛星画像では、全球的な資源調査や環境モニタリングの基準座標として用いられ、データ統合を容易にします。大縮尺地図の作成においては、帯状投影により線形・面積歪みが抑えられ、地形図や工学測量などの高精度用途に適しています。また、物流、野外探査、GIS(地理情報システム)など、多様な地理空間データ処理において信頼性の高い平面座標基盤として広く利用されています。

1. UTM ゾーン(ユニバーサル横メルカトル座標系)。


2.UTM(Universal Transverse Mercator)の示例図。

関連座標系

日本測地系 2011

東京測地系

CH1903

Korea 2000

参考

  1. https://en.wikipedia.org/wiki/Universal_Transverse_Mercator_coordinate_system
  2. https://mangomap.com/robertyoung/maps/69585/what-utm-zone-am-i-in-#
  3. https://www.usgs.gov/faqs/what-does-term-utm-mean-utm-better-or-more-accurate-latitudelongitude