Lisbon 1890 (EPSG:4803)
2026年01月07日 17:11

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概要

Lisbon 1890(EPSG:4803)は、19世紀末にポルトガルで制定された地域限定型の非地心(ノンジオセントリック)測地基準です。主に、同国における初期の陸地測量および地形図作成のための統一的な座標枠組みを提供する目的で使用されました(例:Bonne 投影と組み合わせた EPSG:2963)。特定の歴史的時代における国家基準としての役割を担っていましたが、現在では ETRS89 などの現代的な地心座標系に完全に置き換えられています。そのため、今日における実用的価値は、19 世紀末から 20 世紀中頃に作成された歴史地図や地籍資料など、ポルトガルのレガシーデータを処理・変換する用途に限定されており、専門的な変換を経てデジタルアーカイブ化や歴史地理学的分析に利用されます。

構成要素

Lisbon 1890(EPSG:4803)の座標構造は、リスボン子午線を本初子午線とし、Bessel 1841 楕円体を基準とする二次元の地理座標系(経度・緯度)です。その最大の特徴は、地域最適化された非地心測地基準である点にあり、原点および本初子午線の設定が、現代の全球的な地心座標系とは根本的に異なっています。

長所

  1. 国家測量の統一を実現:1890 年当時、ポルトガルで初めて全国的に統一された近代測地基準を確立し、地域ごとに異なっていた測量基準による混乱を解消しました。これにより、体系的な国家地図作成や土地管理の基盤が築かれました。
  2. 地域適合精度の高さ:非地心測地基準として、ポルトガル領域に最も適合するよう楕円体が配置されており、当時の技術水準においては国内で最大限の測量精度を達成していました。その精度は、制定後数十年間にわたり実務要件を十分に満たすものでした。
  3. 国家的基準点の明確化:リスボン子午線を本初子午線として採用したことは、国家的象徴性と主権意識を反映しており、当時の首都を中心とした行政・国土整備を進める上で重要な意味を持っていました。

短所

  1. 技術的に完全に旧式:非地心型であるため、WGS84 などの現代的な地心座標系とは数百メートル規模の体系的な差異が生じ、GPS などの衛星測位データとは直接的に互換性がありません。
  2. 適用範囲が極めて限定的:ポルトガル本土専用に設計されており、その範囲外では意味を持たない座標系です。
  3. 公式に完全置換済み:現在のポルトガルおよび欧州では、衛星測位に基づく最新の座標系が全面的に採用されており、本基準は法的・実務的のいずれにおいても既に廃止されています。
  4. 変換処理が複雑かつ専門的:WGS84 などへの変換には、測地基準変換(原点・楕円体)と本初子午線変換(リスボン → グリニッジ)を同時に考慮する必要があり、処理が複雑で誤差も生じやすいため、専用の変換パラメータと専門知識が求められます。

応用シーン

Lisbon 1890(EPSG:4803)の利用シーンは、完全に歴史データ処理に限定されます。その唯一の実用的役割は、19 世紀末から 20 世紀中頃にかけて、リスボン子午線を基準として作成された公式地形図、地籍台帳、土木・測量図面に記載された原座標を正確に解釈・デジタル化・変換するための「時空間的な橋渡し」として機能することです。これにより、現代の GIS 環境へ統合し、精密な歴史地理研究、文化遺産位置の特定、法的境界の検証、特定時代の土木事業のデジタル再構築などに活用することが可能になります。

1. EPSG データベースに基づく当該座標参照系の適用範囲。

関連座標系

NAD27

Eckert IV

Roma40

ロビンソン図法

参考

  1. https://epsg.io/4803
  2. https://situx.github.io/proj4rdf/data/def/crs/EPSG/0/2963/index.html