ハマー投影法(Hammer projection)
2025年10月30日 18:53
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概要
ハマー投影法(Hammer projection)は、ランベルト正積方位図法を修正した投影法で、ハマー=アイトフ図法(Hammer–Aitoff projection)とも呼ばれます。1892年にドイツの地図製作者エルンスト・フォン・ハマーによって開発され、ロシアの地図製作者ダヴィド・アイトフの研究に着想を得たもので、アイトフ投影の改良版として位置付けられています。
オーバービュー
ハマー投影法は正積投影法の一種であり、地図上の面積の比率を地球表面上の実際の面積比率と一致させます。この性質は、緯度経度の座標を数式によって平面上の座標に変換しつつ、面積の比率を保持することで実現されています。
長所
- 中緯度地域での高い精度:標準緯線付近(例:北緯45度/南緯45度)では形状・面積・縮尺の歪みが少なく、ヨーロッパ、北アメリカ、中国など中緯度地域の地理情報表示に適しています。
- 世界全体でのバランスの取れた歪み:メルカトル図法などの円筒投影に比べ、極域での引き伸ばしや赤道付近での圧縮が緩和され、より比例感のある世界地図を表現できます。
- 直感的で読みやすい:子午線と緯線が直線かつ直交するため、方向感覚や距離感の把握が容易です。
- 歴史的・実用的価値:イギリスの地図帳で広く用いられ、教育、世界地図、一般的な参考図として依然有用です。
短所
- 高緯度地域での大きな歪み:極域付近では形状や面積の歪みが顕著(例:グリーンランドが過大に描かれる)であり、極地研究や高緯度航行には不向きです。
- 正積でも正角でもない:面積と角度を同時に保持できないため、土地計画のような精密測定や航海図のような航行には適しません。
- 汎用性の制限:航空図に適したランベルト正角円錐図法や、統計地図に適したアルベルス正積図法など、用途特化型の投影法に比べ柔軟性に欠けます。
- 現代的代替手法との競合:デジタル地図や動的投影(例:適応型メルカトル)の普及により、固定的な視点に基づく制限が部分的に解消されています。
応用シーン
ハマー投影法は特に小縮尺の世界地図に適しており、地域的特徴を描いたテーマ別世界地図や、面積を重視する解析に有効です。地球全体で歪みを均等に分散し、中緯度地域を比較的正確に表現しつつ、極域での過度な伸張を避けることができます。
例
1. 世界のハマー投影図。

2. ティソーの指標楕円を重ねたハマー投影図。

関連 GIS 投影
ベルクハウス星型図法
ボンヌ図法
カッシーニ図法
ガル正距円筒図法
参考
- https://en.wikipedia.org/wiki/Hammer_projection
- https://pro.arcgis.com/en/pro-app/latest/help/mapping/properties/hammer.htm#:~:text=The%20Hammer%20projection%20is%20a,appropriate%20for%20small%2Dscale%20mapping.
- https://www.mathworks.com/help/map/hammer.html