日時計投影(Gnomonic Projection)
2025年11月06日 18:34


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概要

日時計投影(Gnomonic Projection) は、球の中心を光源とする透視的な方位投影(azimuthal projection) の一種です。球面上の大円(例:子午線や赤道)を直線として表現できるのが特徴で、主に航海・天文学・地震解析などの分野で利用されます。投影中心では歪みが存在しませんが、周辺部に行くほど変形が急激に大きくなるという性質があります。そのため、大円航路の作図や直線経路の解析には適していますが、面積や角度を正確に保持することはできません。

オーバービュー

日時計投影は、球体の中心に光源を置き、球面上の各点を接平面(projection plane) に透視的に投影する方法です。光は球の中心から外へ向かって放射され、球面上の点を平面に投影します。この方法により、大円が直線として表現されるため、地球上の最短距離(大圏コース)を直線で描くことが可能になります。ただし、投影中心では形状が保たれるものの、中心から離れるにつれて面積・形状・距離の歪みが急増します。そのため、地図全体ではなく、特定の局所的領域や航路解析に適しています。

長所

  1. 直感的で理解しやすい:幾何学的な透視原理に基づいており、球面から平面への変換を人間の視覚感覚に近い形で表現できます。
  2. 大円を直線で表現できる:球面上の最短経路(大圏航路)を直線で描けるため、航海・航空のナビゲーションに非常に有用です。
  3. 中心部の精度が高い:投影中心(接点付近)では距離や角度の歪みがほとんどなく、局地的な解析や精密計算に向いています。

短所

  1. 周辺部の変形が極めて大きい:投影中心から離れると、距離や面積の歪みが急増し、端部では無限大に発散します。
  2. 等積でも等角でもない:面積や角度の正確性を保持できないため、形状の比較や面積計測には不向きです。
  3. 適用範囲が限定的:地球全体を描く世界地図には不向きで、小範囲や特定用途(航路図・局所解析など)に限られます。

応用シーン

日時計投影は、大円を直線として表すという特性から、航海図・航空図の作成で広く用いられています。これにより、船舶や航空機の**最短距離(大圏航路)**を直線として描き、航路計画を効率化することができます。また、地震学分野では、地震波が地球内部を通る経路が大圏に沿うことから、その解析や可視化にも活用されます。さらに、天文学では、天体の運行経路(例:黄道・惑星軌道)を大円として投影し、星の運動解析や視覚化に利用されています。

1. 北極圏を中心とした日時計投影の模式図。

2. 地球中心からの透視投影(日時計投影)。

関連 GIS 投影

ピアース五角形図法

ホティン斜軸メルカトル図法

航程方位図法

パターソン図法

参考

  1. https://en.wikipedia.org/wiki/File:Peirce_quincuncial_projection_SW_20W.JPG
  2. https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Peirce-quincuncial-projection.jpg
  3. https://map-projections.net/license/peirce-quincuncial-20w:flat-ssw