ガル正距円筒図法(Gall stereographic projection)
2025年10月30日 18:50

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概要

ガル正距円筒図法(Gall stereographic projection)は、赤道の反対側の点から地球表面を円筒面に投影する円筒図法であり、標準緯線を45度に固定しています。その特徴は、経線が平行な直線、緯線が等長の曲線となる点です。標準緯線上では縮尺が正しく、赤道から等距離にある緯線の間でも縮尺が一定に保たれます。面積保存図法でも等距図法でも正角図法でもありませんが、中緯度の縮尺を均衡させ、極域での過度な拡大や赤道付近での圧縮を避けつつ、高い形状の忠実性を維持します。

オーバービュー

ガル正距円筒図法は、地球を2本の標準緯線(通常45°N/S)で交わる割円筒図法です。赤道上の透視投影によって円筒に写し取り、これら標準緯線上での縮尺を保ちます。

  1. 経線:等間隔の直線。
  2. 緯線:等間隔の直線(赤道から離れるほど間隔が広がる)。
  3. 歪み:45°N/S付近では最小、極に近づくほど増加。
  4. 利用例:中緯度地域をバランスよく表現する世界地図(例:イギリスの地図帳)。

長所

  1. 中緯度地域の高い忠実度:標準緯線(45°N/S)付近では形状・面積・縮尺の歪みが最小で、ヨーロッパ・北米・中国など中緯度地域の地理情報表示に最適。
  2. 地球全体の歪みの均衡:メルカトル図法など他の円筒図法に比べ、極域での拡大や赤道付近での圧縮が緩和され、視覚的により均衡の取れた世界地図となる。
  3. 直感的で読みやすい:経線・緯線が直線かつ直交しており、人間の認識に合致し、方向判断や距離推定を容易にする。
  4. 歴史的・実用的価値:イギリスの地図帳で広く用いられ、教育用、世界地図、一般的な参照用として今も有効。

短所

  1. 高緯度地域での大きな歪み:極域に近づくほど形状と面積の歪みが顕著で、グリーンランドが過大に描かれるなど、極域研究や高緯度航行には不適。
  2. 面積保存でも正角でもない:面積と角度の両方を保持できないため、土地計画のような精密測量や航海図には不向き。
  3. 汎用性の制限:特化した図法(例:航空図に使うランベルト正角円錐図法、統計地図に使うアルバーズ等積円錐図法)に比べて適応範囲が狭い。
  4. 現代的代替法との競合:デジタル地図や動的図法(例:適応型メルカトル図法)の普及により、その固定的な視点の制約が部分的に解消されつつある。

応用シーン

ガル正距円筒図法は、地球規模での主題図作成に特に適しています。その強みは、すべての地域間の比率関係を比較的正確に保持し、グリーンランドやロシアなど高緯度地域の過大表示を避けられる点にあります。これにより、人口分布、資源埋蔵量、気候変動指標といった面積ベースのデータ表示に最適です。社会科学研究、教育、環境政策の国際比較分析などで広く利用され、客観的な空間データ比較のための地理的基盤を提供します。

1. ガル正距円筒図法による世界地図(15°間隔の経緯線格子)。

2. ガル正距円筒図法と1,000 kmの歪み指標を併記した地図。

関連 GIS 投影

ベルクハウス星型図法

ボンヌ図法

カッシーニ図法

クラスター放物線図法

参考

  1. https://en.wikipedia.org/wiki/Gall_stereographic_projection
  2. https://pro.arcgis.com/en/pro-app/latest/help/mapping/properties/gall-stereographic.htm
  3. https://www.mapthematics.com/ProjectionsList.php?Projection=24