垂直近側透視投影(Vertical Near-Side Perspective Projection)
2025年11月04日 11:00

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概要

垂直近側透視投影(Vertical Near-Side Perspective Projection) は、地球を一定の距離(例:衛星や高高度の位置)から真下に観察する透視投影法です。中心投影法を用いて、人間の目やカメラの視覚効果をシミュレートし、近くの対象が大きく、遠くの対象が小さく見える遠近感を表現します。主に衛星画像や3D地図の可視化に使用され、空間的な奥行き感を強調することができます。しかし、投影線が視点に収束するため、実際の物体の大きさを保持することはできず、正確な測定よりも直感的な表示に適した投影方式です。

オーバービュー

垂直近側透視投影は**中心投影法(central projection method)を採用しており、視点(例えば衛星の位置)を通して地上の点を投影平面に投影します。これにより、近くの対象が大きく、遠くの対象が小さくなる透視効果が生じます。投影線は視点から放射状に広がるため、平行投影線を持つ正射投影(orthographic projection)**とは異なります。実際の観察視点に近い立体的な効果を再現できますが、視点から遠い対象は縮小され、スケールの歪みが発生します。

長所

  1. 立体的な視覚効果:中心投影法を用いることで、人間の目や衛星の観測視点を再現し、近大遠小の遠近感を伴う立体的な空間表現を実現します。物体の三次元的形状を直感的に把握できます。
  2. 高いリアリズム:衛星画像、3Dマップ、建築デザイン、広告アートなどの分野に適しており、視覚的な迫力と没入感を高めます。
  3. 柔軟性:コンピュータグラフィックス分野では、透視投影行列を用いて3Dから2Dへの変換が可能であり、ゲームや映画などのリアルなレンダリングに利用されます。

短所

  1. 比例の歪み:投影線が視点から放射状に広がるため、遠方の物体ほど縮小され、実際の大きさを保持できません。そのため、精密な測定には適していません。
  2. 表示範囲の制限:視野中心からおよそ90°以内の範囲しか表示できず、観測距離の制約により遠方の物体は著しく変形する可能性があります。
  3. 高い計算複雑性:正射投影に比べて数学モデルおよびレンダリング処理が複雑であり、消失点や透視歪みの補正など追加の演算処理が必要です。

応用シーン

垂直近側透視投影は、立体的な視覚効果やリアルな表示が求められる分野で広く使用されています。GIS や衛星画像分野では、衛星から高高度で地球を真下に観察する視点を模擬した立体効果マップの生成に用いられ、空間的な奥行き感を強調することができます。ただし、正確な測地測量というよりは、美観や視覚的理解の向上を目的としています。3D可視化やコンピュータグラフィックスの分野では、透視投影行列による3Dから2Dへの変換を通じてリアルなレンダリングを実現し、特にゲーム、映画、**VR(仮想現実)やAR(拡張現実)**技術における没入型体験に最適です。また、建築設計分野では「近大遠小」の特性を活かしてパース図や完成予想図を描き、建物の立体形状や空間関係を直感的に示します。広告アート分野でも、強い視覚的インパクトを利用して作品の表現力を高めることができます。

  1. グリニッジおよび赤道を中心とした垂直近側透視投影。

2. 特定の中心点(例:大連)を基準とした地球表面の表示。

関連 GIS 投影

ピアース五角形図法

2点等距投影

航程方位図法

パターソン図法

参考

  1. https://pro.arcgis.com/en/pro-app/latest/help/mapping/properties/vertical-near-side-perspective.htm
  2. https://storymaps.arcgis.com/stories/ea0519db9c184d7e84387924c84b703f