CADRG(Compressed ARC Digitizing Raster Graphics)
2025年12月03日 16:58

GISBoxは、OSGB/GEOTIFF/RVTなどの複数のGISフォーマットでの編集をサポートし、3DTiles/Terrainへの変換や公開が可能なワンストップ3DGIS データ編集、変換、公開プラットフォームです。

概要

CADRG(Compressed ARC Digitizing Raster Graphics)は、米国国防総省(DoD)とNGA(National Geospatial-Intelligence Agency)によって策定された高圧縮ラスターマップ形式です。主に軍事用途を目的として開発され、標準化された色数(色パレット)と強力な圧縮方式を用いて、大量の地図情報を小容量で提供できることが特徴です。CADRGは、RPF(Raster Product Format)ファミリーの一部であり、電子地図、航空機・艦艇のナビゲーションシステム、野外端末などで広く使用されています。

データフォーマットの概要

CADRGは RPF(Raster Product Format) に準拠しており、複数の関連ファイルによって構成されます。主なファイル要素は以下のとおりです。

A.TOC(目次ファイル)

  • データセット全体のインデックス情報を格納。
  • 各フレームの配置、縮尺、パス、地理範囲などを記述。
  • CADRGデータの読み込みには必須のメタ情報。

フレームファイル(.C1、.C2 など)

  • 実際のラスターデータを格納した主要コンテンツ。
  • 128×128ピクセルの「フレーム」単位で構成され、効率的にアクセス可能。
  • DoD標準の色パレット(最大 216色)を使用し、高圧縮率を実現。

カラー・ルックアップ・テーブル(CLUT)

  • CADRG 専用のパレットを定義。
  • 地図上の色を標準化することで、異なる機器・ソフト間で一貫した表示を保証。

RPFヘッダファイル

  • セルサイズ、フレームレイアウト、データ種別(CADRG など)を記述。
  • データ構造を解釈するための基本メタ情報。

長所

  1. 高圧縮による優れた容量効率:標準化パレットと高い圧縮率により、同等地図データより大幅に軽量で、狭帯域通信や携帯端末に最適。
  2. 軍事規格に基づく高い互換性・信頼性:RPF標準に準拠し、航空機・艦艇・地上端末など幅広い軍用システムで互換性を確保。
  3. 高速描画に適したフレーム構造:128×128 ピクセル単位のフレームにより、部分読み込み・高速表示が可能。
  4. 色の統一性:DoD標準パレットにより、異なるプラットフォーム間でも同一の色表現を保証。

短所

  1. 色数が制限されている(最大 216色):写真画像などには不向きで、地図以外の用途では品質が低下する。
  2. 汎用GISソフトとの互換性が低い:軍用形式のため、一般GISでは直接読み込めないことが多く、GDAL等による変換が必要。
  3. 地理解析用途には不向き:可視化向けのラスタ形式であり、標高や分類値などの解析的ラスタデータには適さない。
  4. 構造が複雑:A.TOC・フレーム群・CLUTなど多数のファイルが必要で、不足すると読み込み不能となる場合あり。

応用シーン

CADRGは主に軍事、航空、海上ナビゲーション分野で利用されており、作戦計画や任務支援(Mission Planning)における基盤地図として活用されています。航空機やヘリコプターにはデジタルマップシステムとして搭載され、航行中の状況認識を支援します。また、艦艇や潜水艦では電子チャートとして利用され、広範囲の海域情報を軽量に提供します。

1. CADRG作成用サンプルWebマップ。

ファイルの開き方

1. CADRG/CIBエクスポートオプションダイアログ。

関連 GIS ファイル

Parasolid

ADF

RPF

JTOpen

参考

https://www.bluemarblegeo.com/knowledgebase/global-mapper/Formats/CADRG_CIB_RPF.htm

https://pt.filedesc.com/file/cadrg

https://www.arcgis.com/home/item.html?id=cae102a1a9434233a3791b3198e10b1c