ベルクハウス星型図法(Berghaus Star AAG)
2025年10月24日 16:19
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概要
ベルクハウス星型図法(Berghaus Star Projection)は、地球儀の全表面を星型(スターフォーム)に分割して展開するユニークな地図投影法です。ドイツの地理学者ハーマン・ベルクハウス(Hermann Berghaus)によって19世紀に考案され、その美しさと独特な構成から、主に装飾的または教育的な目的で使用されてきました。とくにAAG(American Association of Geographers)によって用いられたバリエーションは、地理学における象徴的なデザインとして知られています。
オーバービュー
ベルクハウス星型図法は、地球全体を中心点から放射状に広がる12枚または18枚の三角形または多角形に分割し、それを星型に配置して平面上に展開します。この方式により、以下のような特徴があります:
- 地球全体を表示可能(全世界投影図)。
- 各区域をほぼ等距離・等面積に保ちながら配置できるため、視覚的バランスが良い。
- 中心点(通常は北極または特定の地域)を起点とする放射状構造により、視覚的インパクトが強く、教育用や展示用に適している。
- 投影面が多数に分割されるため、緯度・経度の連続性は損なわれるが、地域的詳細の保持に強みがある。
長所
- 芸術性と視認性が高い:星型のレイアウトは非常に目を引き、地図の装飾性が高い。
- 地域的歪みが少ない:放射状に分割された各面内では歪みが比較的抑えられる。
- 極域に強い:極点を中心に配置できるため、極地を中心とした解析や教育に有効。
- 教育効果が高い:視覚的に記憶に残りやすく、学習教材として優れる。
短所
- 連続性の欠如:各三角形面が分割されているため、大陸や経線・緯線の連続性が失われる。
- 実用性が限定的:航海・測地・精密GIS用途には適さない。
- 標準化されていない:商用ソフトウェアでの実装が少なく、利用可能な環境が限定的。
- デジタル処理に難:多面体構造を扱うため、デジタル処理や座標変換が複雑になる。
応用シーン
ベルクハウス星型図法は、その視覚的美しさから、教育用地図・展示用ポスター・地理学の象徴的ビジュアルとして多く活用されています。また、極地を中心とした地図表現が可能なため、北極圏・南極圏の可視化資料としても有用です。近年では、アートやインフォグラフィックスにおける地理的要素の視覚化手法としても注目されており、出版物・デザイン・学術会報などに多く用いられています。
例
1. アメリカ地理学者協会 (AAG) のロゴの外観に一致するようにパラメーターを設定したベルクハウス星型図法を示します。

2. ベルクハウス星型図法例。

関連 GIS 投影
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参考
- https://desktop.arcgis.com/ja/arcmap/latest/map/projections/berghaus-star.htm
- https://blog.esrij.com/2015/12/15/post-13083/
- https://www.weblio.jp/content/%E6%98%9F%E5%BD%A2%E5%9B%B3%E6%B3%95