FlatGeobuf(フラットジオバフ)
2025年11月19日 15:35

GISBoxは、OSGB/GEOTIFF/RVTなどの複数のGISフォーマットでの編集をサポートし、3DTiles/Terrainへの変換や公開が可能なワンストップ3DGIS データ編集、変換、公開プラットフォームです。

概要

FlatGeobuf(フラットジオバフ) は、バイナリエンコードに基づく高性能なベクター地理データフォーマットであり、大規模な静的地理空間データの処理を目的として設計されています。FlatBuffers 技術を採用することで、データの高密度な格納と高速な読み書きを実現しています。内部には Packed Hilbert R-Tree(ヒルベルトRツリー) による空間インデックスを内蔵しており、ストリーミング伝送やオンデマンド読み込みをサポートすることで、ネットワーク伝送効率および描画速度を大幅に向上させます。特に、大量の地理空間データを効率的に扱う必要がある場面に最適です。オープンソース形式として、GDAL、QGIS、GeoServer などの主要ツールと互換性を持ち、多言語での実装にも対応しているため、従来の ShapefileGeoJSON の理想的な代替手段として注目されています。

データフォーマットの概要

FlatGeobuf(新世代のベクターデータフォーマット)のファイル構造は、主に以下の要素から構成されています:

  1. ファイルヘッダ部:Magic Number(固定値 0x6667620366676200)、バージョン情報、要素の幾何タイプ、全体の空間範囲(オプション)、および座標参照系情報(EPSGコードまたはWKT定義)を含みます。
  2. 空間インデックス構造:オプションでHilbert R-Tree(ヒルベルトRツリー)を採用し、階層的にノードデータを格納。空間検索の高速化を実現し、粒度調整により性能とストレージ効率のバランスを取ります。
  3. フィーチャデータ格納部FlatBuffers ベースのバイナリエンコード形式で、OGC Simple Features準拠の幾何データおよび属性データ(多様なデータ型をサポート)を保持。可変長ストレージにより空間利用効率を最適化しています。
  4. データブロック機構:固定サイズまたは論理単位ごとにデータを分割し、ブロックオフセットを記録することでランダムアクセスを実現。並列処理やストリーミング伝送に適しています。
  5. メタデータシステム:属性フィールド構造(名称・型・説明など)を定義し、ユーザー定義の拡張メタデータ(タイムスタンプ、データソースなど)を追加可能。
  6. ファイル終端部:空間インデックスの格納位置オフセットを記録し(存在する場合)、オプションで CRC32チェックサム によるデータ完全性検証情報を含みます。

長所

  1. 卓越した性能:Shapefileの2〜5倍、GeoJSONの5〜10倍の高速読み書き性能を実現。テラバイト級データのストリーミング読込をサポートし、ゼロコピーのメモリマッピングによりI/O負荷を大幅削減。Hilbert R-Treeにより空間検索が10〜100倍高速化。
  2. 高いストレージ効率:GeoJSON比で60〜80%のデータ圧縮を達成。単一ファイルに幾何・属性・インデックスを統合し、8バイト座標整列設計によりCPUキャッシュ効率を最適化。
  3. 最新技術との親和性:WebAssemblyによるブラウザ内解析をサポートし、FlatBuffersフレームワークを基盤にクラウドネイティブ構成へ対応。GDAL/QGISとのネイティブ連携を持ち、MITライセンスの下で商用利用可能。
  4. 拡張性:将来的な3D座標・時空間データ対応を見据えた拡張フィールドを備え、データ分割による並列処理やランダムアクセスも容易。

短所

  1. 機能面での制約:トランザクション処理や同時書き込みをサポートせず、トポロジ関係の保持も不可。属性検索用のBツリーインデックスが内蔵されていません。
  2. エコシステムの未成熟:専用ツール(例:fgbview)が必要であり、ShapefileやGeoPackageに比べて利用コミュニティが小規模。バージョン更新時に互換性問題が発生する可能性もあります。
  3. 利用制限:静的データ配信(オフライン地図パッケージ等)には適する一方で、高頻度な編集を要するシーンではGeoPackageが望ましい。小規模データセットでは効率が低く、軽量Web表示ではGeoJSONが優先されます。

応用シーン

FlatGeobufは、その高性能なバイナリ構造により、大規模静的地理データを効率的に処理する用途 に最適です。高負荷WebGISサービスのバックエンドデータ格納形式として利用すれば、高速な空間検索とストリーミング転送が実現できます。モバイル端末向けのオフライン地図データとしても有効で、ストレージ占有と読み込み遅延を大幅に削減します。さらに、全国規模の基盤地理情報(道路網、POIなど)の配信・共有、あるいはリアルタイム交通・環境監視といった高速更新が必要だが頻繁な編集を伴わない分野にも適しており、性能とストレージコストの両立を図ることが可能です。

1. FlatGeobufによる2500万ポイントデータの全量読み込み表示例。


2. FlatGeobufを用いた国勢調査ブロックマップのスムーズな可視化デモ。

ファイルの開き方

1. FlatGeobufのサイトにある[Leaflet Exampleの基本サンプル。

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参考

  1. https://iclient.supermap.io/web/technical-topics/zh/flatgeobuf.html
  2. https://worace.works/2022/02/23/kicking-the-tires-flatgeobuf/
  3. https://qiita.com/wata909/items/4ff94d953d21392d8329