ナチュラル アース図法(Natural Earth Projection)
2026年01月30日 15:45
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概要
ナチュラル アース図法(Natural Earth Projection)は、2009 年にトム・パターソン(Tom Patterson)とボー・ジェニー(Bo Jenny)によって提案された、世界地図表示を目的とする擬円筒図法です。視覚的な自然さと全体的なバランスを重視して設計されており、陸地と海洋の形状を極端に歪めることなく、調和の取れた世界像を表現できる点が特徴です。等積・正角・等距離のいずれにも厳密には属さない折衷型の投影法であり、統計地図や教育用地図、印刷物・Web マップなど、視認性と美観が重視される用途で広く採用されています。
オーバービュー
ナチュラル アース図法は、緯度に応じて経線間隔を滑らかに変化させる擬円筒投影に分類されます。赤道は直線、中央子午線も直線として表現され、経線は等間隔ではなく高緯度に向かって徐々に収束します。緯線はほぼ水平の曲線として描かれ、極付近での過度な拡大を抑制するよう数式的に調整されています。この投影は経験的・視覚的評価を重視して設計されており、数理的な単純性よりも「自然に見える地球像」を優先している点が大きな特徴です。
長所
- 全体バランスに優れた世界表現:大陸の面積感や形状、海洋の広がりが視覚的に自然で、世界全体を一枚の地図として眺めた際の違和感が少なくなっています。
- 高緯度域の歪みを抑制:メルカトル図法のような極端な高緯度の拡大がなく、グリーンランドや南極大陸が現実に近い印象で表現されます。
- 視覚デザインとの親和性:地図デザインやインフォグラフィックとの相性が良く、背景地図や主題図として使用した場合でも情報を邪魔しにくい投影です。
- 世界地図用途に最適化:一国や局地的な精密測量ではなく、地球規模の俯瞰的理解を目的とした用途に特化して設計されています。
短所
- 厳密な測量用途には不向き:等積・正角・等距離のいずれの性質も厳密には満たしていないため、距離計測や面積比較などの定量的解析には適していません。
- ローカル精度が保証されない:地域ごとの歪み量が一定ではなく、特定地域のみを詳細に扱う用途には向いていません。
- 測地基準としては非標準:EPSG における地理座標系や国家測地基準とは異なり、地理空間解析の基準座標系として採用されることはありません。
- 投影変換の実装依存性:主に可視化目的で利用されるため、GIS ソフトウェアによって実装品質や描画精度に差が出る場合があります。
応用シーン
ナチュラル アース図法は、世界全体を俯瞰的かつ直感的に表現する必要がある場面で最も力を発揮します。教育用の地理教材、統計データを重ね合わせた世界分布図、国際関係や環境問題を扱うレポート、Web サイトや印刷物の背景地図などに広く利用されています。正確な計測よりも「理解しやすさ」や「見た目の自然さ」が求められる場面において、視覚的ストレスを抑えた地球表現を提供できる点が、本図法の最大の価値です。
例
1. グリニッジを中心にしたナチュラル アース図法による地図投影を示します。

2. 世界の自然な地球投影。

関連 GIS 投影
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オーガスト周転円投影法
参考
- https://pro.arcgis.com/ja/pro-app/latest/help/mapping/properties/natural-earth.htm
- https://en.wikipedia.org/wiki/Natural_Earth_projection
- https://pro.arcgis.com/ja/pro-app/latest/help/mapping/properties/natural-earth-ii.htm