GeoPDF(ジオPDF)
2025年11月18日 19:17
GISBoxは、OSGB/GEOTIFF/RVTなどの複数のGISフォーマットでの編集をサポートし、3DTiles/Terrainへの変換や公開が可能なワンストップ3DGIS データ編集、変換、公開プラットフォームです。
概要
GeoPDF(ジオPDF)は、Adobe Systems が開発した PDF フォーマットをベースに、地理空間情報を埋め込んで利用できる特殊な PDF ファイル形式です。従来の PDF と同様に閲覧や印刷が可能でありながら、GIS(地理情報システム)ソフトウェアで扱われる座標情報や地図データを保持できるため、一般ユーザーと専門ユーザーの双方にとって利便性の高い地図配布手段として広く利用されています。GeoPDF を用いることで、標準的な PDF ビューア(Adobe Acrobat Reader など)でも座標の取得、レイヤーの切り替え、位置検索といった機能が利用でき、地図情報の共有を容易にします。

データフォーマットの概要
GeoPDF は通常の PDF に対して、地理空間参照情報を追加的に埋め込んだ形式であり、以下のような特徴を持ちます:
- PDF ベース:ISO 規格の PDF に準拠し、一般的な PDF と同様に閲覧・印刷が可能。
- 座標参照系の保持:地図や航空写真に地理座標(緯度・経度、投影座標系)を付与することで、位置参照が可能。
- レイヤー管理:地図情報を複数のレイヤーとして格納でき、必要に応じて表示・非表示を切り替え可能。
- 属性情報の埋め込み:地物に関連する属性データ(名称、番号、統計情報など)を含められる。
- 相互運用性:多くの GIS ソフトウェア(ArcGIS、Global Mapper など)や Adobe 製品と互換性を持ち、他フォーマットへの変換も可能。
長所
- 広範な互換性:標準的な PDF ビューアで閲覧可能なため、専用ソフトを必要とせず、配布や利用のハードルが低い。
- 軽量かつ高精細:ベクターデータを保持できるため、拡大しても劣化せず、印刷物としても高品質。
- GIS機能との親和性:地理座標や属性情報を保持することで、簡易的な GIS 機能を提供できる。
- セキュリティ・利便性:PDF の持つセキュリティ機能(パスワード保護、暗号化)を活用可能で、行政や防災分野でも安心して利用できる。
短所
- 編集性の制限:PDF ベースであるため、GIS データの高度な編集や解析には不向き。
- データ容量:大量の画像データや詳細な地理情報を埋め込むとファイルサイズが肥大化しやすい。
- 機能制約:本格的な GIS ソフトと比べ、空間解析やデータ操作の機能が大幅に制限される。
- 互換性のばらつき:一部の GIS ソフトや古いビューアでは GeoPDF の全機能を完全に利用できない場合がある。
応用シーン
GeoPDF は、地図情報の共有や配布に特化したフォーマットとして、幅広い分野で活用されています。行政機関では防災マップや都市計画図を市民に配布する際に利用され、誰でも無料の PDF ビューアで位置情報を確認できるメリットがあります。軍事・防災分野では、オフライン環境でも参照可能な地図資料として重要視されています。また、企業ではインフラ管理、流通、観光ガイドマップなどに応用され、属性情報を含めた「使える地図資料」として社内外に展開可能です。教育分野でも、地理学習教材や調査レポートの提出形式として採用されるケースが増えており、専門的な GIS 知識を持たない利用者にも直感的に利用できる点が高く評価されています。
例
1. GeoPDFはUSGS国立地図からダウンロードできます。


2. GeoPDFを作る。

ファイルの開き方
1. Safariで筑波山を拡大。

関連 GIS ファイル
STL
3DTiles
VRML
STEP
参考
- https://www.servicemap.com.br/geopdf.php
- https://en.wikipedia.org/wiki/GeoPDF
- https://gis.utah.gov/blog/2014-12-11-geopdfs/
- https://ekbo.blogspot.com/2012/06/geopdf.html
- https://www.youtube.com/watch?v=lAiYYDPMqjQ