ワグナー図法 第4図法(Wagner IV Projection)
2025年11月05日 16:26

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概要

ワグナーIV投影(Wagner IV Projection) は、ドイツの地理学者 カール・ワグナー(Karl Heinrich Wagner) によって 1932 年に提案された擬円筒図法(pseudocylindrical projection) の一種です。この投影法は、面積を等しく保つ等積投影(equal-area projection) でありながら、形の歪みをできるだけ抑えるように設計されています。モルワイデ投影(Mollweide Projection)やグード同積図法(Goode’s Homolosine Projection)に似ていますが、より滑らかで視覚的にバランスの取れた地図表現を提供します。主に世界全図の描写に用いられ、教育・地理学・地図出版などで広く使用されています。

オーバービュー

ワグナーIV投影は擬円筒図法に属し、中央経線を直線として保持し、緯線は平行な曲線として描かれます。投影面は球面を水平方向に引き伸ばしながら、面積を保つように設計されています。この投影は、モルワイデ投影とボンヌ投影の中間的性質を持ち、地球表面を滑らかに再現します。赤道付近では形の歪みが少なく、高緯度地域では形がやや横に引き伸ばされますが、極点付近の変形も比較的抑えられています。

長所

  1. 等積性(Equal-Area):地球上の地域の面積を正確に保ち、世界全体の面積比較に適しています。
  2. 形状のバランスが良い:モルワイデ投影よりも形の歪みが小さく、視覚的に自然で美しい地図を生成します。
  3. 滑らかな外形:高緯度地域や極地の歪みを抑え、グード同積図法のような切れ目がない滑らかな世界地図を作成できます。
  4. 教育・出版向き:視覚的なバランスと面積の正確さの両立により、教科書・地球儀・地図帳などで広く使用されています。

短所

  1. 形の歪み:面積を保持する代わりに、形状や角度の歪みが避けられず、特に高緯度地方で横方向に引き伸ばされます。
  2. 航行や測地用途には不向き:距離や方向の正確性が維持されないため、航海図や測地計算には適していません。
  3. 数学的に複雑:変換式が非線形であり、実装にやや手間がかかる場合があります。

応用シーン

ワグナーIV投影は、世界全図の表示に最も適しています。面積が等しく、形状のバランスも良いため、地理教育・世界地図帳・国際統計地図などで理想的な選択肢とされています。特に、モルワイデ投影よりも自然な外観を重視する場合によく採用されます。また、地球環境分布図・人口密度図・気候帯図など、面積が重要な意味を持つテーママップ(thematic map)に広く利用されます。視覚的な滑らかさとデザイン性の高さから、現代のデジタル地図表示やインフォグラフィックスでも採用されることがあります。

1. グリニッジを中心にしたワグナー図法 (第 4 図法) による地図投影を示します。

2. ワグナー図法 (第 4 図法) による地図投影。

関連 GIS 投影

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ホティン斜軸メルカトル図法

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パターソン図法

参考

  1. https://desktop.arcgis.com/ja/arcmap/latest/map/projections/wagner-iv.htm
  2. https://en.wikipedia.org/wiki/File:Wagner_VI_projection_SW.jpg