航程方位図法(Loximuthal Projection)
2025年10月30日 18:59
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概要
航程方位図法(Loximuthal Projection)とは、航海や地理情報学において使用される地図投影法の一種です。この投影法は、中央子午線に沿った距離を正確に保持しつつ、中央子午線から放射状に伸びる航程(loxodrome、恒向線)の角度を正しく表現する特徴を持っています。緯線は水平の直線として描かれ、中央子午線は垂直線となるため、比較的単純な幾何学的構造を持ち、一定の方位角を保った航路を表す際に有効です。一般的な世界地図投影法と比べると、実用性は限定的ですが、航海や特定の地理学的研究において活用されます。
オーバービュー
航程方位図法は、主に地理情報システム(GIS)やカートグラフィックソフトウェアに実装されており、以下のような形式で利用されます:
- WKT(Well-Known Text)形式:GISで広く利用される座標参照系の記述フォーマットで、EPSGコードが定義されていない場合も、カスタム投影として指定可能です。
- Proj.4 文字列:地図投影ライブラリ PROJ で使用される形式で、loximuthal 投影を
+proj=loxim として定義できます。 - GeoTIFF:ラスターデータと投影情報を統合した形式で、航程方位図法を指定して地図画像を保存できます。
- Shapefile / GeoJSON:ベクトルデータに投影情報を付与する形で利用され、GISソフト上での表示や解析に対応します。
長所
- 航路表現に適する:loxodrome(恒向線)が正しい方位で表されるため、一定方位での航海ルートを地図上で直線として確認できます。
- 中央子午線に沿った距離保持:中央子午線上では距離が正確に表現され、基準となる航路や測地計算に有効です。
- 計算が比較的容易:幾何学的にシンプルな数式で表現できるため、ソフトウェア実装や変換処理が比較的簡単です。
短所
- 面積と形状の歪み:中央子午線から離れるほど面積や形状の歪みが大きくなり、広域地図には不向きです。
- 適用範囲の限定性:航程表示や特定の研究目的以外には使いにくく、一般的な地図利用には適していません。
- 比較的知名度が低い:メルカトル図法や正距方位図法に比べると普及度が低く、対応するソフトや資料が限られています。
応用シーン
航程方位図法は、特に航海学や航路設計の分野で利用されます。一定の方位を保つ航路を直線として描けるため、船舶航路や航空航路の可視化に役立ちます。また、地理学やカートグラフィの研究において、異なる投影法の特性を比較する際の教材や実験的用途としても利用されます。さらに、GISにおける特殊な投影ニーズ(例えば中央子午線付近の正確な距離測定や方向分析)に対応するための補助的手法として活用される場合もあります。
例
- 北緯30°、経度0°を中心とする航程方位図法。

2. 北緯50°、経度0°を中心とする航程方位図法におけるテイソーの指示楕円。

関連 GIS 投影
ハマー投影法
ホティン斜軸メルカトル図法
カッシーニ図法
ガル正距円筒図法
参考
- https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%88%AA%E7%A8%8B%E6%96%B9%E4%BD%8D%E5%9B%B3%E6%B3%95
- https://desktop.arcgis.com/en/arcmap/latest/map/projections/loximuthal.htm
- https://jp.mathworks.com/help/map/loximuth.html