NITF(National Imagery Transmission Format、国家画像伝送フォーマット)
2025年11月18日 19:45
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概要
NITF(National Imagery Transmission Format、国家画像伝送フォーマット)は、アメリカ国防総省(DoD)および国家地理空間情報局(NGA)によって策定された、画像および関連情報の標準化されたファイルフォーマットです。主に軍事・情報分野において利用されており、画像そのものに加え、メタデータ、注釈、地理参照情報、さらにはテキスト情報などを統合的に格納することが可能です。NITFは、効率的な画像伝送と解析を目的として開発され、今日ではリモートセンシング、地理情報システム(GIS)、防衛アプリケーションなど幅広い分野で利用されています。
データフォーマットの概要
NITFは以下のような特徴を持つデータ構造を採用しています:
- 画像セグメント(Image Segment):メインとなる画像データ。マルチスペクトル画像やパンシャープン画像など、多様な形式を格納可能。
- グラフィックセグメント(Graphic Segment):注釈や図形情報を格納し、画像上でのオーバーレイ表示が可能。
- テキストセグメント(Text Segment):任意のテキスト情報(説明、解析結果など)を格納可能。
- データ拡張セグメント(Data Extension Segment):追加情報やカスタムメタデータを柔軟に格納できる拡張領域。
- ヘッダー情報:ファイル全体の構造、セグメントの数や位置、データの解釈に必要なメタ情報を記述。
このように、単なる画像フォーマットではなく、画像に関連する多層的な情報を一括管理できる点が特徴です。
長所
- 統合性の高さ:画像と付随情報(地理座標、注釈、解析結果)を一体化して格納できるため、運用効率が高い。
- 軍事・情報分野での標準性:NATO諸国を含む国際的な軍事組織で広く採用されており、相互運用性が高い。
- 拡張性:データ拡張セグメントにより、将来のニーズに応じて柔軟にフォーマットを拡張できる。
- 伝送効率:画像データを分割管理できるため、大容量データの分割転送や部分表示に適している。
短所
- 一般利用の難しさ:軍事向けに設計されているため、一般的な画像ビューワや編集ソフトでのサポートが限定的。
- フォーマットの複雑さ:多層的なセグメント構造のため、開発者やユーザーにとって学習コストが高い。
- 民間での普及率の低さ:GeoTIFFやJPEG2000などの他形式と比べ、商用・民間利用では採用例が限られている。
応用シーン
NITFは主に軍事・防衛分野における画像伝送・解析に利用されています。偵察衛星や航空機から取得した高解像度画像を、座標情報や付随する解析データとともに配布することで、迅速かつ効率的な意思決定を支援します。また、防災やリモートセンシングの一部分野でも採用されており、災害時の航空写真に地理参照情報を付加して、被害評価や復旧計画に活用されるケースもあります。さらに、研究機関や政府機関においては、NITFを通じて標準化された画像データ交換が行われており、安全保障から地球環境モニタリングまで幅広い用途に対応しています。
例
- NITFファイルをエクスポート。

ファイルの開き方
- ArcGIS で NITF オルソ画像を表示および作成する。

関連 GIS ファイル
USGSDEM
LVB
GeoVRML
DTED
参考
- https://en.wikipedia.org/wiki/National_Imagery_Transmission_Format
- https://manifold.net/doc/mfd9/nitf,_.ntf.htm
- https://gmv.cast.uark.edu/gisrs/software-remotesensing/arcgis/workflow-arcgis/on-the-fly-and-permanent-orthorectification-of-nitf-images-in-arcmap-2/