カッシーニ図法(Cassini Projection)
2025年10月30日 18:46

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概要

カッシーニ図法(Cassini Projection)は、18世紀にイタリア出身の天文学者ジャック・カッシーニによって考案された正軸横メルカトル図法の一種で、中央経線に沿った地域を正確に表現することを目的としています。中央経線とその周辺の形状や距離の歪みが少ないため、細長い南北方向の地域の地図化に適しています。一方、中央経線から離れるほど形状や面積の歪みが増加します。歴史的には19世紀の多くの国土測量や軍事地図に用いられた実績があります。

オーバービュー

カッシーニ図法は、地球の表面を円筒に投影し、その円筒を地球の回転軸に対して90度回転させて配置する方法です。具体的な特徴は以下の通りです:

  1. 中央経線とその平行線に沿って距離と方向を正確に保持できる。
  2. 中央経線から離れるほど東西方向の距離と形状の歪みが顕著になる。
  3. 等距離性は中央経線方向に限られ、全域では成立しない。
  4. 視覚的には、中央部分がほぼ正しい形状で、両端に行くにつれて東西方向に引き延ばされたように見える。

長所

  1. 中央経線周辺での形状・距離の精度が高い。
  2. 南北に細長い地域を正確に表現可能。
  3. 投影の計算式が比較的単純で、実用化しやすい。
  4. 古地図や歴史的測量データとの互換性がある。

短所

  1. 中央経線から離れると急速に歪みが増す。
  2. 全球の地図には不向きで、広域表示では精度が低下する。
  3. 面積や形状を同時に保つことはできない。
  4. 東西方向に広がる地域の地図化には適さない。

応用シーン

カッシーニ図法は、中央経線付近の狭い範囲の精密測量や地域地図作成に適しています。特に南北方向に長い国や地域(例:チリ、ノルウェー、イタリアなど)において、鉄道敷設計画、国境測量、軍事用地図などで活用されてきました。また、歴史的な測量資料との互換性を必要とする文化財調査や地理学研究にも利用されます。近年では、特定の回廊地域や河川流域の地形解析にも応用が見られます。

1. カッシーニによる世界の投影。

2. グリニッジを中心にしたカシニ横正距円筒図法による地図投影を示します。

関連 GIS 投影

ベルクハウス星型図法

ボンヌ図法

ウィンケル三重投影

クラスター放物線図法

参考

  1. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%83%8B%E5%9B%B3%E6%B3%95
  2. https://pro.arcgis.com/ja/pro-app/latest/help/mapping/properties/cassini.htm
  3. https://docs.bentley.com/LiveContent/web/ContextCapture%20Editor-v9/ja/GUID-5B18F949-C650-67FD-9C9F-954198903706.html