ETRS89(European Terrestrial Reference System 1989 | EPSG:4258)
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概要
ETRS89(European Terrestrial Reference System 1989)は、ヨーロッパでの測量・地理情報の基準座標系として使用されている地球基準座標系です。これは、全ヨーロッパにおいて共通の空間参照フレームを確立することを目的として開発されました。
ETRS89 は、国際的な地球基準座標系であるITRS(International Terrestrial Reference System)を基に、ヨーロッパプレートに固定された形で定義されており、1989 年 1 月 1 日 0 時(エポック 1989.0)を起点としています。これにより、地殻変動の影響を考慮しながらも、ヨーロッパ内では相対的に安定した座標参照が可能です。
構成要素
ETRS89 でのデータ表現には以下のような形式があります:
- 緯度・経度(Latitude, Longitude)
単位:度(decimal degrees)
例:N 48.8566°, E 2.3522°
- 地心直交座標(XYZ 座標)
単位:メートル
例:X = 3980581.0 m, Y = 97.0 m, Z = 4966824.0 m
- UTM 座標(ETRS89 UTM Zone)
単位:メートル
例:E = 448251.0 m, N = 5411932.0 m(ゾーン番号によって変動)
長所
- ヨーロッパ統一基準:EU 加盟国での地理情報共有や国際プロジェクトにおいて、整合性のある空間情報基盤を提供します。
- 地殻変動を考慮:ヨーロッパプレートに固定された基準のため、ユーラシア大陸内部でのプレート移動の影響が少なく、安定した測量基準として利用可能です。
- ITRS との整合性:ETRS89 は ITRS の派生系であるため、国際的な測量基準とも連携が取りやすい。
- GIS との高い互換性:多くの GIS ソフトウェアや測量ツールでサポートされており、変換・利用がしやすい。
短所
- 欧州以外では使用に制限:ヨーロッパプレートに固定された座標系であるため、他地域(アジア、北米など)での活用は基本的に不適。
- エポックの更新が必要:座標の精度を維持するには、定期的な更新や、最新の地殻変動モデルへの対応が必要です。
- ローカル座標系との整合性に課題:一部の国・地域の独自座標系との変換では、精度低下の可能性があるため注意が必要です。
応用シーン
ETRS89 は、EU 全体での測量基盤、国家基盤地図、都市計画、道路・インフラの設計、環境モニタリング、海岸線の管理、気候変動の観測、農業用地の地理管理、災害対策など、非常に幅広い分野で利用されています。特に、複数国にまたがる広域プロジェクトや、欧州衛星測位システム「Galileo」と連携した精密な位置情報サービスでは、ETRS89 の一貫性が極めて重要な役割を果たしています。
例
- 各国で採用されている公式 ETRS89 座標と最新の EPN 累積座標解の違い。

- ノルウェーの ETRS89。

関連座標系
ED50
ITRF2014
投影座標系
GPS 座標系
参考
- https://github.com/OSGeo/PROJ/issues/2739
- https://support.esri.com/ja-jp/gis-dictionary/etrs89
- https://en.wikipedia.org/wiki/European_Terrestrial_Reference_System_1989
- https://www.researchgate.net/figure/Difference-between-official-ETRS89-coordinates-adopted-in-the-different-countries-and-the_fig4_263888642