CH1903(Swiss Coordinate System 1903 | EPSG:4149)
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概要
CH1903は、スイスで広く用いられてきた国家座標系で、1903 年に制定された測地基準に基づいています。これはスイス全土を対象とした投影座標系であり、山岳地帯が多いスイスにおいて、精密な地理空間情報管理とマッピングを実現するために開発されました。基準楕円体には Bessel 1841 が使用され、投影法にはオブリーク・マーケーター(斜軸メルカトル図法)が採用されています。
この座標系はスイスの国土地理院(Swisstopo)によって長年にわたり使用され、地形図、測量、土木、インフラ計画など多くの分野で標準とされてきました。近年ではより精度の高いCH1903+(EPSG:2056)に移行が進められていますが、依然として多くの既存データは CH1903 ベースで保存されています。
構成要素
- 緯度・経度系:緯度と経度はそれぞれスイス測地系に基づいた角度(度単位)で表現される。
- 平面直角座標(LV03 形式):CH1903 では東方向(E)と北方向(N)の 2 軸で表現され、単位はメートル。
- 基準原点:旧ベルン天文台を基準原点とし、人工的なオフセットを加えて便宜的に扱う。
- 楕円体:Bessel 1841 楕円体を基に定義され、地表からの観測精度向上に寄与する。
長所
- 国内適用に最適化:スイス国内での地形・地理的特徴に特化しており、精度の高い地図作成が可能。
- 長年の信頼性:100 年以上の歴史を持つ座標系として、豊富な既存データ資産との互換性がある。
- 国家標準との親和性:政府・地方自治体の公式地理データと統一性が高く、公共事業での使用に向いている。
短所
- グローバル対応に不向き:WGS84 など国際標準座標系と直接的な互換性がなく、変換処理が必要。
- 高度精度の限界:近代測量技術においてはミリメートル級の精度要求に応えにくくなっている。
- CH1903+への移行課題:今後の標準として CH1903+が推奨されているため、CH1903 はレガシーとされる場面も多い。
応用シーン
CH1903 は主にスイス国内の地形測量、道路計画、鉄道網構築、登山地図の作成、土地管理などで活用されています。特に山岳地帯が多いスイスにおいて、安定かつ一貫した測量基盤を提供してきました。また、建設・土木分野では、公共インフラにおける基礎座標系としての活用も多く、既存の CAD データや GIS データとの連携にも役立っています。観光や災害管理、国立公園の整備など、多様な地理空間プロジェクトでも依然として CH1903 が利用されるケースが多く見られます。
例
- CH1903/LV03 にグリッドを追加しました。

関連座標系
日本測地系 2011
東京測地系
RD New
Amersfoort(EPSG:4289)
参考
- https://en.wikipedia.org/wiki/Swiss_coordinate_system
- https://gis.stackexchange.com/questions/85889/qgis-with-ch1903-lv03-and-wgs84-layers
- https://av.tib.eu/media/35050