ED50 (European Datum 1950 | EPSG:4230)
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概要
European Datum 1950(通称 ED50、EPSG コード 4230)は、1950 年代にヨーロッパ全域をカバーすることを目的に策定された地理座標系(Geodetic Datum)です。主に第二次世界大戦後の軍事用途、特に北大西洋条約機構(NATO)加盟国間で統一的な地理情報を運用するために設計されました。
基準となる楕円体は「International 1924 Ellipsoid(別名 Hayford 楕円体)」で、地球の形をより実測に基づいて表現しています。ED50 はヨーロッパ大陸を中心に広く使用され、1970 年代から 1980 年代にかけて各国の地図作成や地理空間データ標準として広く普及しました。
データフォーマットの概要
- ED50 は以下の仕様を持っています。
- 座標系:地理座標系(GCS)
- 楕円体:International 1924 Ellipsoid
- 長半径(a):6,378,388 メートル
- 扁平率(f):1/297.0
- 測地基準点:ポツダム(ドイツ・ベルリン近郊)
- 単位:度(十進法または度分秒)
- 座標順序:緯度(北緯)- 経度(東経)
- EPSG コード:4230
- 測地系の種類:ローカルな地球基準系(Local Datum)
長所
- ヨーロッパ域内の精度が高い:ED50 はヨーロッパ地域向けに最適化されており、当時の測量技術において非常に高い精度を誇りました。
- 軍事・航海用途に広く採用:NATO 標準の地理情報基盤として長年使用されてきたため、防衛分野での信頼性が高いです。
- 一部地域では依然有効:現在でも、石油・ガス探査、旧版地図の活用、レガシーデータの管理などで使われています。
短所
- 地球中心を基準にしていない:ED50 は地球の中心(ジオイド中心)を基準としていないため、地球規模の正確な位置情報が求められる現代の用途(例えば GPS)には適していません。
- 大陸移動に対応していない:プレートテクトニクスによる地殻変動(ヨーロッパ大陸は年間数センチメートル移動)を考慮していないため、現在の実測値と若干のズレが生じます。
- WGS84 との変換が必要:多くの現代的な GIS・測量システムは WGS84(EPSG:4326)を採用しているため、ED50 との座標変換作業が不可欠となります。
応用シーン
ED50 は現在でも、特定の用途や業界において活用されています。特に、石油・ガス業界における北海油田の探査・管理、旧軍事地図や地政学的研究、または 1950 年代から 1980 年代に作成されたヨーロッパ各国の歴史的地形図データの取り扱いなどにおいて重要な役割を果たしています。また、地図データのアーカイブ保存や、過去の地理情報との整合性確保が求められる場面でも使用され続けています。現代的な測位・ナビゲーションシステムに使用する場合は、WGS84 への座標変換を行う必要があります。
例
- ED50 の概要。

- ED50 と WGS84。

関連座標系
NAD83
ITRF2014
投影座標系
GPS 座標系
参考
- https://en.wikipedia.org/wiki/ED50
- https://support.esri.com/ja-jp/gis-dictionary/ed50
- https://epsg.io/6230-datum