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横メルカトル図法 (Transverse Mercator projection)

GISBoxは、OSGB/GEOTIFF/RVT などの複数の GIS フォーマットでの編集をサポートし、3DTiles/Terrain への変換や公開が可能なワンストップ 3DGIS データ編集、変換、公開プラットフォームです。

概要

横メルカトル図法は、地球表面を円筒に投影して地図を作成する円筒投影法の一種で、標準メルカトル図法(正角円筒図法)を基に、円筒を地球の子午線(経線)に沿って横向きに配置するのが特徴です。これにより、経度方向(東西方向)ではなく、緯度方向(南北方向)の歪みを抑え、狭い範囲の正確な地図表現が可能になります。

この手法は特に「UTM 座標系(Universal Transverse Mercator Coordinate System)」に採用され、細長い帯状(ゾーン)ごとに地球全体を分割して正確な位置表現を実現しています。

データフォーマットの概要

横メルカトル図法に関連する代表的なデータフォーマットには以下のものがあります:

  1. GeoTIFF:位置情報付きラスタデータ
  2. Shapefile(.shp):GIS ソフトで広く使われるベクターデータ
  3. KML/KMZ:Google Earth など向け地理情報ファイル
  4. GPKG(GeoPackage):SQLite ベースの次世代 GIS データベース
  5. WKT(Well-Known Text)/WKB(Well-Known Binary):座標参照系(CRS)記述にも利用
  6. EPSG コード:座標系管理用(例:UTM ゾーンごとに異なる EPSG 番号)

長所

  1. 高精度:標準経線付近では面積・角度・距離の歪みが非常に小さい。
  2. 局所最適:特定地域(東西に広がらない範囲)の地図作成に非常に適している。
  3. 広範な利用実績:UTM 座標系として、軍事・測量・建設・災害対策など幅広い分野で世界的に標準採用。
  4. 数学的な取り扱いが容易:座標変換や測量計算で高い精度と安定性を実現できる。
  5. 座標管理が明確:ゾーンごとに区切られているため、位置特定がわかりやすい。

短所

  1. 範囲制限:ゾーンの中央子午線から離れるほど、東西方向の歪みが急速に増大する。
  2. 大域的用途には不向き:広域(例えば大陸規模)をカバーする地図には適していない。
  3. ゾーンの跨ぎ管理が複雑:複数ゾーンにまたがる場合、座標変換やデータ統合に工夫が必要。
  4. 座標系設定ミスに注意:使用するゾーンや基準経線を間違えると大きな誤差が生じる。

応用シーン

横メルカトル図法は、比較的狭い東西幅の地域を対象にした、高精度な地図作成や位置管理に最適です。特に、都市開発、基盤整備、土地台帳管理、交通インフラ設計、公共測量、災害マッピング、防災計画、森林管理、資源探査、軍事用途など、正確な地理情報が求められる場面で広く活用されています。日本国内でも、ほぼ全国で UTM 座標系を基準とした測量・GIS データ構築が行われています。

  1. 横メルカトル図法の概念 横向きの円筒に投影する。

  1. 地球を真球と見立てた場合の横メルカトル投影。

関連 GIS 投影

Web メルカトル

メルカトル図法

UTM 投影図法

高斯–クリューゲル投影

参考

  1. https://pro.arcgis.com/ja/pro-app/latest/help/mapping/properties/transverse-mercator.htm
  2. https://www.wingfield.gr.jp/archives/12068
  3. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A8%AA%E3%83%A1%E3%83%AB%E3%82%AB%E3%83%88%E3%83%AB%E5%9B%B3%E6%B3%95