GISBox

LERC(Limited Error Raster Compression)ファイルとデータ形式

GISBoxは、OSGB/GEOTIFF/RVT などの複数の GIS フォーマットでの編集をサポートし、3DTiles/Terrain への変換や公開が可能なワンストップ 3DGIS データ編集、変換、公開プラットフォームです。

概要

LERC(ラーク、Limited Error Raster Compression) は、ESRI(エスリ)社によって開発されたラスターデータの可逆および非可逆圧縮アルゴリズムです。主に GIS やリモートセンシング分野で利用され、特に浮動小数点や整数の連続値を持つラスターデータに最適化されています。他の画像圧縮形式(JPEG、PNG など)と異なり、LERC は「空間的精度を維持しながら、圧縮率を最大化」することを目的としています。

データフォーマットの概要

LERC は主に以下のような形式で使用されます:

  1. .lerc ファイルとして単独保存されることもありますが、
  2. 通常は TIFF(GeoTIFF)や MRF(Meta Raster Format) などのコンテナフォーマットに埋め込まれた内部圧縮方式として使われます。
  3. 特にCloud Optimized GeoTIFF(COG)ArcGIS Image Servicesで広く使われており、クラウドベースの高性能処理にも対応します。

長所

  1. 高圧縮率と高速処理:許容誤差を設定することで、従来の ZIP や JPEG と比較しても高い圧縮率と処理速度を両立。
  2. 数値精度の制御が可能:圧縮時に最大誤差(MaxError)を指定できるため、解析や可視化に応じた精度設定が可能。
  3. 可視的劣化が少ない:主に連続値(標高・温度・NDVI など)に特化しているため、画像としての劣化が目立ちにくい。
  4. クラウド・Web 表示に最適:軽量かつ高速読み込みが可能で、オンライン GIS や Web 地図のバックエンド配信に適している。

短所

  1. カテゴリーデータには不向き:土地利用分類やラベルなど「離散値」のデータでは、誤差が致命的になる可能性がある。
  2. 誤差制御の理解が必要:MaxError の設定次第で、解析結果が変わる可能性があるため、使用者側に精度管理の知識が必要。
  3. 対応ソフトに依存:LERC 対応のソフトやライブラリでなければ、展開・解析ができない場合がある。

応用シーン

LERC は、主に標高(DEM)、気温・降水量などの気象データ、リモートセンシング画像(NDVI など)、海面高度、地形陰影データなど、「連続値かつ高解像度のラスターを扱うシーン」に非常に適しています。特にクラウド上でのデータ配信や、WebGIS での軽量表示、都市スケールでの地理空間分析などにおいて、そのパフォーマンスが活かされます。

  1. GIS 衛星リモートセンシング画像 LERC 形式圧縮。

  1. LERC 例。

関連 GIS ファイル

PCIDSK

JPEG 2000

OGC GeoPackage

PRJ

参考

  1. https://en.filedesc.com/file/lerc
  2. https://esri.github.io/lerc/
  3. https://www.osgeo.org/projects/lerc-limited-error-raster-compression/