ITRF2014 (International Terrestrial Reference Frame 2014)
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概要
ITRF2014(International Terrestrial Reference Frame 2014) は、国際地球回転・基準系事業(IERS: International Earth Rotation and Reference Systems Service)によって構築された、地球上の位置基準を統一するための全球的な三次元座標フレームの一つです。これは、地球上の任意の地点の位置を非常に高精度で表現するために設計されており、測地、測量、地球科学、衛星測位などの分野で広く利用されています。
ITRF2014 は、GPS、GLONASS、VLBI(超長基線電波干渉計)、SLR(レーザー測距)、DORIS(ドップラー測地観測システム)といった複数の測地観測技術のデータを統合し、各測地観測点の三次元位置とその変動速度を精密に推定しています。これにより、地殻変動、地震、地球重心移動といった現象を高精度にモデリングすることが可能になっています。
データフォーマットの概要
NITRF2014 のデータは、基本的に次のような形式で提供されています:
- 位置情報(X, Y, Z 座標)
各ステーションの三次元直交座標(地球中心基準)
- 速度情報(dX/dt, dY/dt, dZ/dt)
各座標軸方向の時間当たりの移動速度
- 共変量行列(Covariance Matrices)
測定誤差や推定精度を示す情報
- 地殻変動モデル
大地震後の非線形変動(例:余効変動)や季節変動成分を考慮した補正パラメータ
ファイル形式は主にテキスト形式(例:SINEX ファイル)で配布され、解析ソフトウェアや GIS、GNSS 解析ツールで読み込むことが可能です。また、公式サイトでは簡易形式(リスト化された CSV 形式など)でも一部データが提供されています。
長所
- 高精度な位置決定が可能:ミリメートル単位での位置推定が可能で、科学的にも産業的にも非常に高い信頼性を持っています。
- 複数観測技術の統合により、地球全体の均質なフレームを提供:異なる観測方法の誤差を相互補完するため、単一技術に依存しない堅牢な座標系が構築されています。
- 長期安定性:数十年にわたるデータ統合と解析に基づき、長期的な一貫性を持っています。
- 地殻変動モデルとの組み合わせ:大地震後の座標ジャンプや、徐々に変化する地殻運動にも柔軟に対応可能です。
- 国際標準としての広範な利用:GNSS 基準系(例:IGS、WGS84 の高精度版)や、各国の国家座標系の定義にも採用されています。
短所
- リアルタイム対応には限界がある:ITRF は年単位で改訂されるため、最新の地殻変動や災害後の変位には即応できない場合があります。
- 地殻変動補正が必要なケースがある:大規模地震後や地域特有の季節変動に対しては、別途補正モデルを適用する必要があります。
- データ構造がやや専門的:一般利用者にとっては SINEX フォーマットや共分散情報の扱いが難しいことがあり、専門知識が要求されます。
応用シーン
ITRF2014 は、精密測量、国家基準座標系の制定、衛星測位システム(GNSS)の高精度基盤、地殻変動解析、地震研究、気候変動モニタリング、海面上昇測定、航空宇宙分野での軌道決定など、広範な分野において欠かせない基準フレームとして活用されています。特に、地球上の異なる地点を正確に比較・追跡する必要があるすべてのアプリケーションにおいて、ITRF2014 は国際的な標準基盤となっています。
例
- ITRF2014 に関するスケールとジオセンターの時系列プロット。

- ITRF 基準局。

関連座標系
NAD83
ITRF2020
投影座標系
GPS 座標系
参考
- https://itrf.ign.fr/en/solutions/itrf2014
- https://agupubs.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/2016JB013098
- https://epsg.io/7789