JGD2000(Japanese Geodetic Datum 2000 | EPSG:4612)
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概要
JGD2000(日本測地系 2000)は、国土地理院が 2002 年 4 月から正式に採用した日本の測地基準系です。それまで使用されていた「日本測地系(Tokyo Datum)」に代わって導入され、国際的な GPS 座標との整合性を高めることを目的としています。地球中心を基準とする地心座標系(ITRF:International Terrestrial Reference Frame)を基礎としており、より高精度な測量や GIS 解析を可能にしています。
構成要素
JGD2000 は以下のようなデータフォーマットで構成されています:
- 測地座標(緯度・経度・楕円体高)
GRS80 楕円体を基準とした緯度経度の組み合わせと、高さ情報(楕円体高)を用いる形式です。
- 直交座標(XYZ)
地球中心を原点とする三次元直交座標系(ECEF)で表現され、GPS などとの連携に使用されます。
- 平面直角座標(X,Y)
日本国内での地図作成や土木設計に広く利用される形式。全国を 19 のゾーンに分け、それぞれの原点を基準に投影します。
長所
- 国際基準との高い整合性:ITRF に基づいているため、GPS や国際的な測地データとの互換性が高い。
- 高精度な測量が可能:高精度な GNSS 観測や 3D 計測が求められる現場でも安定した座標管理ができる。
- 全国統一の基準系:全国の測量成果や公共測量が同一基準で管理されており、空間データの一貫性が保たれる。
- 既存システムとの互換性:地理院地図や各種公共データが JGD2000 ベースで提供されており、システム統合が容易。
短所
- 地殻変動の影響:固定基準系であるため、長期的にはプレート運動や地震による地殻変動の影響を受ける可能性がある。
- JGD2011 との混用リスク:2011 年東日本大震災後に登場した JGD2011 との座標誤差(数 cm〜数十 cm)に注意が必要で、混在による誤差が生じやすい。
- 変換の手間:古い Tokyo Datum からの変換には一定の作業が必要で、データ資産の更新に時間がかかる場合がある。
応用シーン
JGD2000 は、日本国内のあらゆる測量・地図作成・インフラ設計・災害対策・都市計画・GIS 分析の基準座標系として利用されています。たとえば、国土交通省や地方自治体が公開している地形図や基盤地図情報も JGD2000 に基づいており、民間の建設業者やコンサルタント、大学・研究機関などでも、土木設計、ドローン測量、3D マッピング、スマートシティ開発などに広く活用されています。
また、地理院地図(Web 地図)や OpenStreetMap などの多くの GIS プラットフォームでも、JGD2000 に準拠したデータ提供が行われています。高精度な空間情報が求められる現在、JGD2000 は日本国内における「空間基盤」として不可欠な存在です。
例
- 日本測地系と世界測地系の違い(出典:国土地理院)。

- AutoCAD での JGD2000 測量図取り扱い。

関連座標系
ED50
ETRS89
PZ-90
GPS 座標系
参考
- https://www.esrij.com/gis-guide/coordinate-and-spatial/coordinate-system-japan/
- https://www.geobrain.com/jgd2000.html
- https://www.gsi.go.jp/sokuchikijun/jgd2000-2011.html