Esri Grid
GISBoxは、OSGB/GEOTIFF/RVT などの複数の GIS フォーマットでの編集をサポートし、3DTiles/Terrain への変換や公開が可能なワンストップ 3DGIS データ編集、変換、公開プラットフォームです。
概要
Esri Gridとは、アメリカの Esri 社(Environmental Systems Research Institute)が開発したラスターデータ形式の一種です。主に ArcGIS 製品群において標準的に利用され、地理空間情報を格子状(グリッド)に分割して管理するための形式です。各セルには数値情報(標高値や分類コードなど)が格納され、地形解析、土地利用分類、気候データ解析など、幅広い GIS(地理情報システム)アプリケーションで活用されています。
データフォーマットの概要
Esri Grid には、大きく分けて 2 種類のフォーマットが存在します。
- Integer Grid(整数グリッド)
各セルに整数値が格納されます。土地利用区分、カテゴリーデータなどに適用されます。
- Floating Point Grid(浮動小数点グリッド)
各セルに浮動小数点数が格納されます。標高、気温、降水量などの連続値データに適用されます。
また、Esri Grid は「ファイルベース」で管理され、グリッド単位で複数の関連ファイル(*.adf ファイルなど)を生成します。ファイル名やパスに関しては制約があり、特に ASCII コードのみ対応、ファイル名は最大 13 文字まで、パスの長さにも制限がある点に注意が必要です。
長所
- ArcGIS との高い互換性:Esri 社製ソフトウェア(ArcMap、ArcGIS Pro、ArcGIS Server など)での読み込み、解析、出力が非常にスムーズに行えます。
- 大規模データセットへの対応:大きな地理空間データをタイル状に分割して効率的に管理できるため、広範囲の環境解析や都市モデル構築に向いています。
- 空間解析ツールとの連携性:標高データ分析、コスト距離解析、流域解析など、多くの GIS 空間解析ツールに直接適用可能です。
- シンプルなデータ構造:セル単位で一貫したデータ管理が可能であり、地理的処理やラスタ演算処理が容易です。
短所
- ファイル制限が厳しい:ファイル名やフォルダ構成に制約が多く、モダンなファイルシステムとの互換性が低い場合があります。
- 汎用性の低さ:GeoTIFF や NetCDF など他の一般的なラスターデータ形式に比べ、他社製ソフトウェアとの互換性が限定的です。
- データ容量が大きくなることがある:圧縮機能がないため、細かい分解能で大量のデータを管理するとストレージ消費量が増大する場合があります。
- 近年サポートが縮小傾向:Esri 自身も近年ではより汎用的な GeoTIFF などへの移行を推奨する傾向にあり、将来的な使用には注意が必要です。
応用シーン
Esri Grid は、主に ArcGIS 製品を使用したプロジェクトにおいてその真価を発揮します。例えば、標高データを用いた地形解析、気象データや土壌情報を基にした農業支援システム、都市インフラの計画における環境リスク評価、流域シミュレーションを活用した水資源管理、さらには災害発生リスクを評価する防災マッピングなど、多種多様な地理空間情報プロジェクトに広く応用されています。特に、大規模で複雑な地形データを高速に処理しなければならない場合、Esri Grid のパフォーマンスは大きなメリットとなります。
例
- Esri グリッドデータでは、最初の 6 行で参照情報を定義し、その後、左から右、上から下の順にセルの値が並びます。

- グリッド データ構造。

ファイルの開き方
- Afanche3D で 3D ESRI グリッドデータを視覚化。

- グリッドセルの選択 - ArcMap。

関連 GIS ファイル
MVT
FBX
TFW
AUX
参考
- https://en.wikipedia.org/wiki/Esri_grid
- https://www.afanche.com/tutorial-visualize-esri-grid-data-with-afanche3d
- https://pro.arcgis.com/ja/pro-app/3.3/help/data/imagery/esri-grid-format.htm
- https://desktop.arcgis.com/en/arcmap/latest/extensions/data-reviewer/selecting-grid-cells.htm