SLPK (Scene Layer Package)ファイルとデータ形式
GISBoxは、OSGB/GEOTIFF/RVT などの複数の GIS フォーマットでの編集をサポートし、3DTiles/Terrain への変換や公開が可能なワンストップ 3DGIS データ編集、変換、公開プラットフォームです。
概要
SLPK ファイルは、3D シーンデータを保存・共有するためのファイル形式です。これは ArcGIS Pro ソフトウェアで使用されるパッケージングフォーマットで、3D シーンデータと関連リソースを 1 つのファイルにまとめて、ArcGIS プラットフォーム上で簡単に共有・転送できるようにします。
データフォーマットの概要
全体構成
- 本質:ZIP 形式の圧縮パッケージ(ただし内部ファイルは追加圧縮されておらず、ZIP 形式での単なるカプセル化)。
- 主要ファイル:
3dSceneLayer.json
:記述ファイル(座標系、データ範囲、バージョン情報など)。
nodes/
:3D ノードデータを格納するフォルダ。
sharedResources/
:テクスチャやマテリアルなどの共有リソースを格納するフォルダ。
nodes(ノード)
- 役割:3D シーンは複数のノードに分割され、それぞれのノードは以下のような内容を持つ。
- ジオメトリデータ(.bin):3D モデルの頂点やパッチなどを格納。
- テクスチャ(.jpg/.png):モデルの表面素材。
- 属性情報(.json):ノードの追加情報(例:ID、名称)。
- LOD(Level of Detail):各ノードは複数の詳細レベルを含み、距離に応じて異なる精度のモデルを動的に読み込む。
sharedResources(共有リソース)
- 再利用メカニズム:テクスチャやマテリアルなどが複数のノードで共有され、
sharedResources/
に格納されることで重複を避ける。
- 参照方法:ノードはパスや ID によって共有リソースを参照し、ファイルサイズの軽量化を実現。
Bounding Volume(境界ボリューム)
- 目的:ノードの空間的範囲を定義し、レンダリングやクエリの高速化に貢献。
- 種類:
- OBB(Oriented Bounding Box):建物などの規則的形状に適用。
- MBS(Minimum Bounding Sphere):点群などの不規則データに適用。
バージョンの違い
- I3S 1.7 以降:ノードインデックス情報が
nodePages
に集約され、ファイル数の削減と読み込み効率の向上。
- I3S 1.8 以降:Basis Universal テクスチャ圧縮に対応し、ストレージとレンダリングの最適化を実現。
例えで理解する
- SLPK ファイル ≒ 一冊の本
3dSceneLayer.json
≒ 表紙(書籍情報の記載)
nodes/
≒ ページ(各ノードのデータ)
sharedResources/
≒ 挿絵ライブラリ(複数章で共有される画像)
長所
- 効率的な保存と転送:圧縮アルゴリズムと空間インデックス技術により、ファイルサイズを縮小し、読み込み速度を向上。LOD 対応により大規模シーンの表示性能を最適化。
- クロスプラットフォーム対応:ArcGIS Pro、ArcGIS Online、ArcGIS Earth などの Esri 製品間で利用可能。プラットフォームを越えた共有と連携が容易。
- データの一体性:3D モデル、テクスチャ、メタデータなどを一つのファイルに統合し、データ損失やバージョン不一致を防止。
- 多様な 3D データタイプに対応:オルソ画像、点群データ、3D オブジェクト(BIM モデルなど)、統合メッシュなど、多種多様な 3D データを保存可能。
短所
- Esri 製品への依存:SLPK は Esri の独自形式であり、QGIS や Blender などの非 Esri 製品では直接読み込み・編集できず、専用ツールやプラグインが必要。
- 習得コストが高い:SLPK ファイルの作成や編集には ArcGIS Pro や CityEngine などの使用スキルが求められ、非専門者には敷居が高い。
- ファイルサイズが依然として大きい:圧縮されているとはいえ、高精度な都市モデルなどではファイルサイズが大きくなり、転送や保存の効率に影響を与える。
- オープン性の制限:glTF や OBJ などのオープン形式に比べると、SLPK は汎用性や互換性に制限があり、非 Esri 環境での利用が難しい。
応用シーン
SLPK ファイルを活用することで、都市計画担当者や設計者は現実感のある都市モデルを作成・共有し、都市開発プロジェクトの計画と評価を効率的に進めることができます。また、SLPK は様々な地理空間データを統合し、強力な分析ツールとして、地理分析や意思決定支援にも役立ちます。
例
- SLPK ファイルを対応ソフトウェアで開く。

- SLPK ファイルを対応ソフトウェアで開く。

ファイルの開き方
- ArcGIS ソフトウェアで SLPK ファイルを表示。

関連 GIS ファイル
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参考
- https://community.esri.com/t5/3d-questions/what-s-the-workflow-for-creating-an-slpk-with/td-p/205897
- https://pro.arcgis.com/en/pro-app/latest/help/sharing/overview/scene-layer-package.htm
- https://community.esri.com/t5/arcgis-pro-questions/how-to-export-slpk-scene-layer-package-output-from/td-p/1394522