Web メルカトル(Web Mercator, Pseudo Mercator, EPSG:3857)
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概要
Web Mercator(EPSG:3857 または EPSG:900913)は、主にインターネット地図サービス(例:Google Maps、Bing Maps、OpenStreetMap など)で広く使われている地図投影法です。「Pseudo Mercator(擬似メルカトル)」とも呼ばれ、本来のメルカトル投影(正確な航海用地図投影)とは数学的に少し異なる簡易版のメルカトル投影です。
地球を球体(正確には球に近似)として扱い、赤道を基準に緯度経度を直交座標(X, Y)に変換しますが、緯度方向の縮尺の歪みを正確に補正しないため、極地に近づくほど面積の誇張が発生します。
データフォーマットの概要
- 座標系:地理座標(緯度・経度)を基に、メートル単位の直交座標に変換
- EPSG コード:EPSG:3857(現在最も標準的)、旧称 EPSG:900913(Google の語呂合わせ)
- 単位:メートル
- 基準原点:経度 0 度・緯度 0 度(グリニッジ子午線と赤道の交点)
- 範囲
- 緯度:約 ±85.0511 度
- 経度:±180 度
長所
- ウェブ配信に最適化
タイル形式の地図表示に非常に適しており、高速ロードが可能。Google Maps や Bing Maps の標準仕様として広く普及しています。
- 相互運用性が高い
世界中の多くの地図 API や GIS システム(ArcGIS、QGIS、Leaflet、Cesium など)と互換性があります。
- 実装がシンプル
球面モデルを使用し、複雑な楕円体補正が不要なため、開発・運用が容易です。
- ズームレベルに対応
マップタイルのズームレベル設計(Level 0〜Level n)に適しており、大規模地図配信がスムーズに行えます。
短所
- 面積・距離・角度が正確ではない
極地に近づくほど歪みが激しく、面積や距離、角度の正確な測定には適していません。
- 極域を完全にはカバーできない
投影範囲が緯度 ±85.0511 度に制限されており、南極や北極周辺の地理情報を表現できません。
- 測量・精密分析用途には不向き
精密な空間解析や国家基準座標系との厳密な一致が求められるプロジェクトには適していません。
応用シーン
Web Mercator は、主にオンライン地図サービス、ナビゲーションアプリ、位置情報ゲーム(例:Pokémon GO)、災害情報配信プラットフォーム、スマートシティの可視化システム、観光地案内マップ、商業施設のロケーションマップなど、ユーザーが広域・中域の位置情報を素早く視覚的に把握できる必要があるシーンで非常に効果的に使用されています。一方、正確な測量結果が必要な建設、土地登記、境界測量、精密農業などの用途では、他の高精度な座標系(例:UTM 座標系や日本測地系など)を使用することが推奨されます。
例
- ウェブメルカトル図法は、地球規模では北緯 85 度から南緯 85 度あたりに切り取られたメルカトル図法とほとんど区別がつかない。

- Web メルカトル投影法を使用した OpenStreetMap。

関連 GIS 投影
経緯投影
メルカトル図法
UTM 投影図法
高斯–クリューゲル投影
参考
- https://en.wikipedia.org/wiki/Web_Mercator_projection
- https://tech-support.esrij.com/arcgis/article/web/knowledge2554.html
- https://www.wingfield.gr.jp/archives/4294/3