MGI (Militar-Geographische Institut | EPSG:4312)
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概要
MGI 座標系(Militär-Geographische Institut 座標系)は、オーストリアの軍地理研究所によって確立されたローカル座標系です。ベッセル楕円体(Bessel Ellipsoid)を基準とし、主にオーストリア国内で地理情報の表現や空間位置決定に使用されています。投影法には横メルカトル図法(Transverse Mercator Projection)を採用しており、中央子午線は東経 13 度 20 分、投影原点の緯度は 0 度に設定されています。さらに、東方向(イースティング)のオフセットは 1,500,000 メートル、北方向(ノーシング)のオフセットは 0 メートルに設定されています。この座標系はガウス=クリューゲル図法の変種であり、オーストリアでは地形図作成、土地管理、都市計画、交通計画など多岐にわたる分野で広く活用され、正確な空間基準フレームを提供しています。
構成要素
MGI(Militär-Geographische Institut)座標系は、ベッセル楕円体に基づき、横メルカトル図法を使用しています。主な構成要素は以下の通りです:
- 中央子午線:東経 13 度 20 分に設定されており、投影座標系の X 軸の方向を決定する基準線です。
- 投影原点の緯度:緯度 0 度(赤道)に設定されており、Y 軸方向の基準として使用されます。
- イースティングのオフセット:1,500,000 メートルに設定され、経度方向の座標値が負にならないよう調整されています。
- ノーシングのオフセット:0 メートルに設定されており、緯度方向には追加のオフセットはありません。
長所
- オーストリアの地形に高精度で適応:この座標系はオーストリアの地形特性に特化して設計されており、精密な土地測量や大規模な建設プロジェクトなど、国内のさまざまな地理情報用途において非常に高い精度で位置情報を提供できます。
- 過去の地理データとの高い互換性:長年にわたりオーストリアで利用されてきたことにより、膨大な歴史的地理データが蓄積されています。MGI 座標系はこれらのデータとの互換性が高く、複雑な座標変換なしで直接利用できるため、データの継承や更新、管理が容易です。
- ローカルでの充実したサポート体制:オーストリア国内では、多くの地理情報ソフトウェアや測量機器が MGI 座標系に対応しており、技術者の習熟度も高いため、効率的に作業を進めることができます。
短所
- 地域的な制限が大きい:MGI 座標系はオーストリアに特化して設計されているため、他国や広域地域での使用には適しておらず、精度や実用性が大きく低下します。
- 他座標系との変換が複雑:世界的に一般的な WGS84 座標系や他国の座標系とのデータ交換を行う場合、複雑な座標変換が必要となり、誤差が生じやすく、データ精度の低下や処理の手間が増える可能性があります。
- 技術更新への対応が遅れがち:地理情報技術の進展により、新しい座標系や投影法が登場している中、MGI 座標系は比較的古く、最新技術やアルゴリズムへの対応が遅れる傾向があります。
応用シーン
MGI 座標系は、地理情報の精度が求められ、かつ国境を越える連携を必要としないオーストリア国内のプロジェクトに最適です。たとえば、土地資源管理、都市の詳細計画、交通インフラの整備や保守、環境モニタリングや評価などの分野において、その地形適応性とデータ互換性の高さを活かし、正確かつ一貫性のある地理情報を提供できます。
例
- MGI の適用範囲。

- 座標系の変換。

関連座標系
CH1903
OSGB36
RD New
Amersfoort(EPSG:4289)
参考
- https://epsg.io/4312#google_vignette
- https://spatialreference.org/ref/epsg/4312/wkt2.html
- https://geo-spatial.org/vechi/download/nomenclatorul-mgi-militar-geographische-institut-iugoslavia-austria