NAD83(2011) – EPSG:6318
2026年05月21日 16:40
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概要
NAD83(2011) – EPSG:6318 は、1983年北米測地基準(NAD83)の最新実現版であり、2011年に米国国家測地局(NGS: National Geodetic Survey)によって国家空間基準システム(NSRS)の一部として公開されました。これは NAD83(NSRS2007) の後継であり、約2,000か所の連続観測基準局(CORS)および数千の受動基準点に対して10年以上にわたり収集されたGPS観測データを基に構築されています。NAD83(2011) は、北米プレート固定型の特徴を維持しながら、国際地球基準座標系 International Terrestrial Reference Frame(ITRF2008)との整合性を大幅に向上させました。現在では、米国における高精度測量、地図作成、GISアプリケーション向けの公式NSRS実現版として推奨されています。
構成要素
NAD83(2011) – EPSG:6318 は、以下の主要構成要素から成り立っています。
- 原点(Origin):地球重心を基準とし、北米プレートに固定。
- 参照楕円体(Reference Ellipsoid):GRS 1980
- 座標表現(Coordinate Representation):二次元地理座標(緯度・経度)。
- 基準ネットワーク(Reference Network):約2,000のCORS局および数万点の受動基準点を単一の全国最小二乗調整で統合。
- プレート固定(Plate Fixing):北米プレートに固定されており、座標値は地殻変動によって時間経過で変化しません。
- ITRF整合(ITRF Alignment):2010.00期においてITRF2008との整合性を確保し、グローバル測位システムとの互換性を向上。
長所
- NAD83実現版中で最高精度:NAD83(2011) は、CORS局で約0.005–0.01 m、受動制御点で0.01–0.05 mの精度を持ち、最も高精度を要求される測量・工学用途に適しています。
- ITRF整合性向上:ITRF2008(2010.00年時点)に整合させることで、WGS84やITRFとの互換性が大幅に改善され、GPSデータとの統合時の変換誤差を減少。
- 法的用途向けのプレート固定安定性:北米プレートに固定されており、座標が時間とともに変化しないため、境界線記録、土地台帳、測量、長期インフラ管理が簡略化。
- 全国一貫性:州ごとのHARN調整で生じていた境界の不連続を解消し、州境を越えても精度の一貫性を維持。アラスカ、ハワイ、プエルトリコなども含む。
- 大規模かつ成長するデータ基盤:米国連邦機関(USGS、Census、FEMA)、州政府、地方自治体の新規データ収集標準として使用。新規GISデータの多くはEPSG:6318を採用。
- 主要ソフトウェアでの標準サポート:ArcGIS Pro、QGIS、Trimble、Leicaなど主要GIS・測量ソフトでネイティブに対応。
- NGS公式推奨:高精度測量・地図作成・GIS用途におけるNSRS実現版として、公式に推奨され、変換ツールも提供。
短所
- 2次元のみ:EPSG:6318は緯度・経度のみを定義し、高度情報は含まれません。3次元用途ではNAVD88やジオイドモデル(GEOID18)を組み合わせる必要があります。
- 地域限定:北米(米国、カナダ、メキシコ、カリブ諸島)のみに適用。南米、ヨーロッパなど海外用途には不適。
- 最新ITRFとの完全整合ではない:ITRF2014やITRF2020など最新フレームとの整合性はないため、追加変換が必要。
- ITRFへの変換はエポック依存:北米プレートの変動(約2–3 cm/年)により、精密変換には観測時点のエポックを考慮する必要あり。
- 近未来のNSRS刷新による置換予定:NGSは2025–2026年に新しいNSRS(Atlantic-Pacific 2022/ Pacific-Pacific 2022)に置換予定で、NAD83(2011)は新規用途では将来的に非推奨。
- ITRFユーザー向け学習コスト:グローバルフレームに慣れたユーザーは、参照フレーム、プレート固定、エポックの違いを理解する必要があり、誤解すると数メートルの座標誤差が発生。
応用シーン
NAD83(2011) は、米国およびその領土における高精度GIS、測量、地図作成の標準です。土地境界測量、土木・建設(道路、橋梁、建物)、連邦・州GISデータベース(USGS地形図、Census TIGERデータ、FEMA洪水マップ)、公共インフラ管理(パイプライン、送電線、通信)、環境モニタリング(湿地境界、森林管理)、交通網(高速道路、鉄道、空港)など幅広く利用されています。NGS公式推奨のNSRS実現版として、NAD83フレーム内で最高精度が必要な新規プロジェクトに最適ですが、2025–2026年に予定されるNSRS刷新への移行も考慮する必要があります。
例
1. NAD83(2011) – EPSG:6318。
関連座標系
ITRF2008
ITRF2005
NAD83(HARN)
NAD83(NSRS2007)
参考
- https://epsg.io/6318