ORS API(OpenRouteService)
2026年08月20日 09:43

GISBoxは、OSGB/GEOTIFF/RVTなどの複数のGISフォーマットでの編集をサポートし、3DTiles/Terrainへの変換や公開が可能なワンストップ3DGIS データ編集、変換、公開プラットフォームです。

概要

ORS API(OpenRouteService)は、OpenStreetMapのデータを基盤とするオープンソースの地理空間ルート計画サービスです。RESTfulインターフェースを提供し、自動車、徒歩、自転車など複数の交通手段に対応した経路検索のほか、等時間線分析、距離行列の計算、ジオコーディング、高度照会、軌跡マッチング、複数地点のルート最適化などの機能を備えています。Javaで開発され、GPLv3オープンソースライセンスに準拠しています。Dockerなどを利用して独自にデプロイできるほか、公開APIを直接呼び出すことも可能です。ナビゲーションアプリ、物流配送、都市計画、アウトドアスポーツなどの分野で幅広く利用されています。

構成要素

ORS(OpenRouteService)コアプロジェクトのファイル構成は、主に以下のとおりです:

  • docs/:プロジェクトのドキュメントディレクトリ。ユーザーマニュアル、APIインターフェース仕様、設定ガイドなどの資料が含まれています。
  • docs/run-instance/configuration/:サービスのデプロイおよび実行設定ファイルを保存する専用ディレクトリ。主要ファイルはors-config.ymlです。
  • ors-engine/:ルートエンジンのコアモジュールディレクトリ。経路計算、等時間線分析、行列計算などの中核アルゴリズムを担当します。
  • ors-engine/src/main/files/osm/:OpenStreetMap(OSM)データファイルを保存するディレクトリ。ここに地図データを配置し、設定ファイルで参照する必要があります。
  • logs/:ログディレクトリ。サービスの実行中に生成されるログファイル(ors.logなど)が保存され、エラーの調査や稼働状況の監視に使用されます。
  • ors-api/:RESTful APIインターフェース層のディレクトリ。/v2/directions、/v2/isochrones、/v2/matrix、/v1/geocode、/v2/statusなどのHTTPエンドポイントを外部に公開します。
  • tests/:テストスイートのディレクトリ。単体テストおよび統合テストのコードが含まれています。
  • docker/(または関連するデプロイディレクトリ):Dockerによるデプロイに必要な設定ファイル(Dockerfile、docker-compose.ymlなど)が含まれており、コンテナ化によるデプロイを容易にします。

長所

  1. 完全オープンソースかつ無料:GPLv3ライセンスに基づいており、APIの呼び出し料金やライセンス料は不要です。費用はサーバーハードウェアとデータストレージに関するものだけで、Dockerを利用して迅速にデプロイできます。
  2. データのプライバシーと主権を管理可能:ローカル環境へのデプロイに対応しており、すべてのルート計算とジオコーディングを自社サーバー上で実行できます。機密性の高い位置情報を企業内ネットワークの外部に出さずに済むため、GDPRなどのプライバシー規制への対応にも役立ちます。
  3. 豊富な機能とモジュール性:ルート案内、等時間線分析、距離・時間行列、ジオコーディング、高度照会、軌跡マッチングなど、多様なAPIエンドポイントを提供しています。自動車、徒歩、自転車、車いすなど、複数の移動手段に対応しています。
  4. 高いカスタマイズ性:ルート規則、速度設定、右左折コスト、道路種別の優先度、回避エリア、カスタム重み付け関数などを設定でき、物流、都市計画、アウトドアスポーツなどの特殊なシーンにも対応できます。
  5. 高い技術的自立性:ソースコードに恒久的にアクセスできるため、商用サービスの料金値上げ、インターフェース変更、サービス停止などのリスクを受けません。コミュニティによる継続的な保守も行われており、プロジェクトを持続的に発展させることができます。開発パッケージ:公式にPython SDKが提供されており、スクリプトや自動化処理におけるクラウドGISデータ操作への統合に便利です。
  6. 活発なコミュニティと充実したドキュメント:詳細な公式ドキュメント、Swagger UIによる対話型テスト画面、複数言語のクライアントライブラリ(Python、JavaScript、Dartなど)、豊富な事例集を備えています。

短所

  1. デプロイと設定のハードルが高い:環境変数による設定ファイルパスの指定が必須であり、「すぐに使える」方式にはなっていません。初心者が利用する場合、追加設定が必要です。初回のデプロイでは、OSMデータの手動ダウンロード、YAML設定ファイルの作成、Javaサービスの起動を行う必要があります。
  2. 道路ネットワークデータに遅れや偏りがある:移動手段ごとにOSMデータの更新周期が異なり(自動車は四半期ごと、自転車は年1回、徒歩は半年ごとなど)、一方通行情報の欠落、立体交差の階層情報の無視、歩道橋の未収録、勾配精度の不足などの問題が発生する可能性があります。
  3. 性能とリソースへの依存が大きい:Javaを基盤として開発されているため、ルート計算には比較的高いメモリとCPUリソースが必要です(JVMには4~8GBのメモリ割り当てを推奨)。大量データを扱う場合は、分割処理とSSDストレージのサポートが必要となり、自前でサービスを運用する場合は、運用保守と最適化も自ら負担しなければなりません。
  4. 行列機能は具体的な経路を返さない:時空間行列(Matrix)APIは、複数地点間の距離と所要時間のみを計算でき、2地点間の具体的なルート形状情報は返せません。
  5. リアルタイム交通データへの対応が限定的:ORS自体はリアルタイムの交通状況を提供していません。動的なルート計画を実現するには、TomTom、Hereなどの第三者データソースを追加料金で導入する必要があります。
  6. 無料の公開APIには利用制限がある:公式の無料アカウントでは、1か月あたり500回のリクエスト上限しかなく、上限を超えると403エラーが返されます。大量のアクセスが発生するアプリケーションでは、自前のインスタンスを構築する必要があります。

応用シーン

ORS APIは物流・配送分野で幅広く利用されており、複数の配送先を含む最適な配送ルートの計画や、配送可能な等時間範囲の計算に使用されます。都市計画や交通管理では、徒歩・自転車での移動のしやすさの分析、道路の到達可能性の評価、公共交通機関の駅・停留所のカバー範囲分析などを支援できます。アウトドアスポーツや観光の分野では、ハイキングやサイクリングアプリに軌跡ナビゲーションと距離計算の機能を提供します。そのほか、緊急救助における最短経路検索、不動産分野での通勤時間評価、研究機関における空間的アクセシビリティや移動行動の研究など、さまざまなシーンで活用できます。

1. 典型的な地図クライアント。

1.jpg

ファイルの開き方

1. OpenRouteServiceを使用して、現在地からマークした地点までのルートを計算します。

2.jpg

関連地図サービス

ORS API

GeoJSON API

NOAA NCEI API

Teleport API

参考

  1. https://openrouteservice.org/
  2. https://pygmalion.nitri.org/how-to-enable-basic-routing-with-openrouteservice-ors-in-opentopomap-viewer-1818.html
  3. https://ask.openrouteservice.org/t/installing-ors-map-to-existing-vue-project/4476